( 1 )中国古典においては「響きが声に応じて起こるように、人の言葉や行動にすばやく反応すること」という意味で「響応」と書かれ、これが原義とされる。
( 2 )日本においては原義から①の意味が生じ、また、「相手を喜ばせる」という部分に重点が移った結果、②の意味が派生し、それに伴って「響」が「饗」と書かれるようになった。「供」は現代表記における代用字。
… 一般に,近代の公法が成立する以前には,宗教的・倫理的義務と考えられたこうしたもてなしの慣習が,地縁的あるいは血縁的共同体とその外部の社会との関係を支えていたといえる。宴会贈物【野村 雅一】
【日本】
[中世]
〈もてなし〉の本来の語義は,相手をだいじに扱う,面倒をみる,たいせつに待遇すること,またそうした人に対するふるまい方を意味するが,転じて饗応,馳走(ちそう)を意味するようになる。饗応の意で広く使われるようになるのは,尾張国熱田社の神官が性蓮という僧を〈請じ寄せて,さまざまにもてなし,馬・鞍・用途など沙汰して,高野へ〉送った(《沙石集》)とか,若狭国太良荘(たらのしよう)の預所が六波羅の小奉行を招待して〈もてなし申〉(《東寺百合文書》),引出物に用途1結,厚紙10帖を贈ったなどの用例にみられるように,鎌倉中期以降のことであった。…
※「饗応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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