作合(読み)つくりあわせる

精選版 日本国語大辞典 「作合」の意味・読み・例文・類語

つくり‐あわ・せる ‥あはせる【作合】

〘他サ下一〙 つくりあは・す 〘他サ下二〙
二つのものを一つにあわせる。
大和(947‐957頃)二条家本附載「門ならべに家二つを一つにつくりあはせたる」
② 似つかわしく、調和するようにつくる。ふさわしくつくりそろえる。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「そでこそは、いとよく、かたちも心も、右大将にこそつくりあはせたれ」
③ 他方に調子をあわせてつくる。他に応じて大声をあげる。
※天草本平家(1592)三「イチマンバカリノモノドモガ トキヲ ドット tçucuri(ツクリ) auasureba(アワスレバ)

つくり‐あわせ ‥あはせ【作合】

〘名〙
① 建築で、建物と建物とが接しているところ。つくりあい。
吾妻鏡‐建保元年(1213)四月二七日「義盛為逢御使、自寝殿侍、飛越造合。〈無橋〉」
源平盛衰記(14C前)五「十禅師の宮の造合(ツクリアハセ)より、白髪たる老女一人現して」
② 鮪(まぐろ)のような赤色刺身(さしみ)と、鮃(ひらめ)・鯛のような白色の刺身とを盛りあわすこと。また、そのもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「作合」の意味・わかりやすい解説

作合
さくあい

近世初期の有力農民が、領主と直接生産小農民との間にあって中間搾取する形態。幕藩制社会では、領主―農民の一元的関係が確立していて、田畑の生産物は、その生産活動に必要な部分を生産農民が取り、残りを領主がすべて収取するのを原則とした。しかし、太閤(たいこう)検地段階から近世初期にかけては、持高(もちだか)の零細な小農民に自立しがたいものが多かった。そこで、多くの高をもつ有力農民ないし土豪は、自分の持高の若干を小農民に耕作させて、彼らの自立を助けながら収取し、その収取分から領主へ年貢を納めて、なお手元に若干を残した。この残分が中間搾取分であり、作合とよばれた。作合は一種小作料である。

宮川 満]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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