平安時代に存在した小人の舞。侏儒とは小人の意。〈ひきひとまい〉ともいう。古代大和朝廷にはこっけいな芸をもっぱらとしたらしい侏儒がいたが,そうした芸を母胎にして生まれたのが平安時代の侏儒舞と考えられる。《江家次第》に〈猿楽〉として一足(いつそく),高足(たかあし),輪鼓(りゆうご),独楽(こま),呪師(しゆし)とともに侏儒舞があげられているように,当時は広義の猿楽とみなされていた。舞いぶりは不明だが,《梁塵秘抄》に〈よくよくめでたく舞うものは,巫(かうなぎ)小楢葉車の筒とかや,やちくま侏儒舞(ひきまい)手傀儡(てくぐつ),花の園には蝶小鳥〉とあるのが芸態に関しての唯一の資料である。
執筆者:天野 文雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…〈ひきひとまい〉ともいう。古代大和朝廷にはこっけいな芸をもっぱらとしたらしい侏儒がいたが,そうした芸を母胎にして生まれたのが平安時代の侏儒舞と考えられる。《江家次第》に〈猿楽〉として一足(いつそく),高足(たかあし),輪鼓(りゆうご),独楽(こま),呪師(しゆし)とともに侏儒舞があげられているように,当時は広義の猿楽とみなされていた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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