改訂新版 世界大百科事典 「価額協定保険」の意味・わかりやすい解説
価額協定保険 (かがくきょうていほけん)
火災保険の一種。通常の火災保険では比例塡補(てんポ)方式(損害額に保険金額の保険価額に対する割合を乗じた額が保険金として支払われる)が採られているのに対し,契約時に保険価額を加入者と保険会社が協定しておき罹災時には保険金額の範囲内で損害額がそのまま保険金として支払われる(実損塡補方式)。契約時には,保険の目的を評価し,その評価額(建物は再調達価額,家財は時価額)に60%,80%,100%のいずれかの付保割合を乗じたものを保険金額とする。全損の場合には罹災に伴う各種の出費に充てるため特別費用保険金も支払われる。保険の目的は建物(主として居住用で減価割合が50%未満のもの)と家財に限定されており,住宅火災保険,普通火災保険,住宅・店舗の各総合保険および団地保険に価額協定保険特約を付帯して契約する。1975年10月に発売された。
類似の保険として新価保険があるが,これは,(1)工場建物,機械設備等も保険の目的となる,(2)時価損害額を超える部分の保険金は保険の目的が復旧されなければ支払われない,(3)特別費用保険金の支払いはない,などの点で価額協定保険とは異なっている。
→火災保険
執筆者:高木 秀卓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報