保呂(読み)ホロ

デジタル大辞泉 「保呂」の意味・読み・例文・類語

ほろ【保呂】

保呂羽ほろば」の略。
「―の風切かざぎりいだる矢負はせて」〈平家・四〉

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精選版 日本国語大辞典 「保呂」の意味・読み・例文・類語

ほろ【保呂】

  1. 〘 名詞 〙
  2. あばら骨。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
  3. ほろは(保呂羽)」の略。
    1. [初出の実例]「ほろの風切りはいだる矢負はせて」(出典:平家物語(13C前)四)
  4. ( 「ぼろ」とも ) 魚釣用の擬餌(ぎじ)。とっぱ。

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改訂新版 世界大百科事典 「保呂」の意味・わかりやすい解説

保呂 (ほろ)

鎧(よろい)の背にかけて流れ矢を防ぎ,あるいは装飾にした袋状の布。〈母衣〉〈保侶〉とも書き,保呂衣(ほろぎぬ),懸保呂(かけぼろ),保呂指物(ほろさしもの),矢保呂の別がある。保呂衣は戦袍(せんぽう)であり,《三代実録》には870年(貞観12)に調布をもって保呂衣1000領を調製したことが伝えられている。懸保呂は騎兵の鎧の背にかけて長く引く幅広の布のことで,平安時代の末ころから用いられるようになった。5幅5尺,7幅7尺,8幅8尺というように,もっぱら方形で,ひだを設けて狭くたたみ,上部に懸緒(かけお)をつけて鎧の綿上(わだかみ)から前にまわして高紐(たかひも)にかけて結びつけた。これに対して室町時代の末に出現した18段,21段という大保呂は指物旗指物)の一種となり,風にふくらむ形象を示すために竹などで籠(かご)のように仕立てた保呂串(ほろぐし)を設け,具足の背にとりつけるようになった。矢保呂は雨湿炎乾に備えて箙(えびら)にさした矢の上からかぶせた袋をいい,ときには空穂(うつぼ)の上にも用いた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「保呂」の意味・わかりやすい解説

保呂
ほろ

母衣とも書く。武士が装飾を兼ねて流れ矢を防ぐために用いた武装の際の補助具。馬に乗った武士が鎧の背から長い布をなびかせるようにした懸 (かけ) 保呂 (平安時代末期) ,風にふくらんだ形にみせるために籠を布で包んだ保呂指物 (室町時代) などがある。また (えびら) に差した矢羽根を雨などから防ぐためにおおう袋を矢保呂といったが,これを単に保呂と呼ぶ場合もあった。

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