日本大百科全書(ニッポニカ) 「保育教諭」の意味・わかりやすい解説
保育教諭
ほいくきょうゆ
「幼保連携型認定こども園」で保育にあたる職員の総称。幼保連携型認定こども園は、2015年度(平成27)からスタートした「子ども・子育て支援新制度」において、旧来の認定こども園法を改正し、「学校及び児童福祉施設としての法的位置付けを持つ単一の施設」として創設された。現在、幼児教育・保育にあたる者の免許・資格としては、幼稚園教諭免許と保育士資格の二つがあるが、幼保連携型認定こども園で働く「保育教諭」はこの両方を有することを原則とする。しかし、実際には幼保連携型認定こども園で保育にあたる職員のなかには幼稚園教諭免許か保育士資格のどちらかの免許しかもっていない人も多いことから、法改正と同時に、2019年度末までの5年間の時限措置として、片方の免許・資格をもつだけでも「保育教諭」として働くことができ、同時に働きながら両方の免許・資格を取得できる「特例措置」が設けられた。
特例措置は以下のとおりである。幼稚園教諭免許、あるいは保育士資格のいずれかをもち、「3年以上かつ4320時間以上の実務経験を有する者」で、(1)幼稚園教諭免許をもつ者が保育士資格をとる場合には、保育士養成施設において「特例教科目」を受講することで保育士資格を得ることができるようにした。(2)幼稚園教諭免許をもつ者が全国の都道府県で行われる保育士試験を受験して保育士資格を得ようとする場合には、筆記試験8科目のうち「保育の心理学」「教育原理」の2科目と、二次試験にあたる「実技試験」の科目が免除されることとなった。(3)保育士資格をもつ者が幼稚園教諭免許をとる場合には、大学で講義を受けて「教育課程の意義及び編成の方法」「幼児理解の理論及び方法」など5科目8単位を取得することで、大卒者には一種、短大・専門学校等卒者には二種の免許が与えられるようになった。当初、「特例措置」は2019年度末までの予定であったが、2017年度時点で両方の免許・資格をもつ職員の割合は89.2%にとどまったことなどから、さらに2024年度末まで延長される。
[猪熊弘子 2019年3月20日]