世界の保険監督当局で構成される国際機関。略称IAIS。1994年に設立。スイスのバーゼルにある国際決済銀行(BIS)内に本部を置く。保険会社の健全性を保つ国際統一基準づくりや効果的な監督手法の確立を目的とする。また銀行や証券分野の監督機関などと連携し、世界の金融システムの安定のため監督者間の協調促進に取り組んでいる。このため銀行の自己資本規制などを定めたBISになぞらえて「保険版BIS」ともよばれる。毎年5回程度、最高意思決定機関である執行委員会(25の国・地域で構成)を開き、保険監督の原則、基準、指針などを決め、年1回の年次総会で採択する。2016年8月時点で、140以上の国・地域のほか、国際通貨基金(IMF)、国際復興開発銀行(世界銀行)、ヨーロッパ連合(EU)、経済協力開発機構(OECD)、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)などの国際金融機関が加盟している。
2008年のリーマン・ショックで世界最大の保険会社AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)が経営危機に陥ったため、IAISは保険会社への自己資本規制を導入。2015年にはAIGなど大手保険会社への上乗せ規制を導入し、2019年からは日本の大手保険会社を含む世界主要60社に新たな自己資本規制を導入する予定である。なお保険会社の国際的な監督機関がIAISであるのに対し、銀行の監督機関はバーゼル銀行監督委員会(BCBS。1974年設立)、証券会社の監督機関は証券監督者国際機構(IOSCO(イオスコ)。1983年設立)である。また1996年には、銀行・証券・保険にまたがる規制を国際的に議論する3機関共同のジョイントフォーラムが発足した。
[矢野 武 2016年12月12日]
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