国際決済銀行(読み)こくさいけっさいぎんこう(英語表記)Bank for International Settlements

精選版 日本国語大辞典 「国際決済銀行」の意味・読み・例文・類語

こくさい‐けっさいぎんこう ‥ケッサイギンカウ【国際決済銀行】

(Bank for International Settlements の訳語) 一九三〇年スイスバーゼル設立された国際金融機関。当初は第一次世界大戦後のドイツ賠償金の金融的管理を主要な任務とした。第二次大戦後はヨーロッパ通貨協定などの実務担当機関として活動。日本は昭和四五年(一九七〇)再加盟。BIS。

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デジタル大辞泉 「国際決済銀行」の意味・読み・例文・類語

こくさい‐けっさいぎんこう〔‐ケツサイギンカウ〕【国際決済銀行】

1930年、スイスのバーゼルに設立された、主要国の共同出資による国際銀行。設立当初は第一次大戦後のドイツの賠償支払いを円滑に処理することを主な目的とした。現在は出資国の中央銀行間の協力を促進し、金融政策国際通貨問題などに関する討議・決定を行っている。日本からは日銀総裁理事などが参加。BISビス(Bank for International Settlements)。→バーゼル合意

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際決済銀行」の意味・わかりやすい解説

国際決済銀行
こくさいけっさいぎんこう
Bank for International Settlements

略称BIS。1930年1月の「国際決済銀行に関する条約」に基づいて、同年5月に主要国の共同出資によってスイスのバーゼルに設立された中央銀行をメンバーとする国際的な銀行。第一次世界大戦後のドイツの賠償問題を処理する目的で発足し、賠償金の徴収、債権国への分配などが主要業務であったが、当初から中央銀行間の協力推進の場を提供するとともに、中央銀行からの預金の受入れ業務等の銀行業務も行っている。

 第二次世界大戦後は、国際通貨基金IMF)等の設立により清算される予定であったが、ヨーロッパ決済同盟の発足(1950年)に始まるヨーロッパの地域協力機関の受託・代理機関として活動したことなどにより、その役割が再度見直された。各国中央銀行の協力の要(かなめ)として、中央銀行からの預金を受け入れるとともに、国際金融業務への便宜の供与、国際金融決済の受託・代理業務、さらには国際金融問題に関して各国中央銀行が討議する機関としての役割を果たしてきている。

 たとえば、ポンド安定のための対英借款供与、ドル安定のためのスワップ協定締結など、国際金融面では積極的な役割を演じてきたが、とくに1988年のBIS規制、2004年の新BIS規制の公表は有名である。これは、1984年にアメリカで起こったコンチネンタル・イリノイ銀行の破綻(はたん)を機に、国際金融業務を行う銀行は、信用秩序維持のため8%以上の自己資本比率を維持することを取り決めたものである。

 加盟国は、2005年現在55か国で、日本は設立時から参加したが、戦後一時離脱し、1970年(昭和45)に再加盟した。事実上の最高意思決定機関は理事会であるが、年1回の年次総会のほかに、10か国グループ(G10)総裁会議、グローバル・エコノミー総裁会議、拡大総裁会議(これらを総称して、中央銀行総裁会議という)とよばれる会合を開催している。G10総裁会議に報告をする種々の常設委員会があり、BIS規制はその一つであるバーゼル銀行監督委員会で定められたものである。

[土屋六郎・中條誠一]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国際決済銀行」の意味・わかりやすい解説

国際決済銀行
こくさいけっさいぎんこう
Bank of International Settlements; BIS

1930年のハーグ協約(ドイツ,イギリス,フランス,ベルギー,イタリア,日本,スイス),BIS創設憲章および BIS定款に基づきスイスのバーゼルに設立された国際銀行。元来はドイツ賠償金問題を契機として誕生した中央銀行間の国際協力機関で,株式会社の形態をとるスイスの特殊法人である。その特権免除は 1987年の BISとスイス政府との協定で再確認された。授権資本は 15億スイス金フラン(60万株)。日本は 1951年対日講和条約で株主権を放棄したものの 1970年に再加盟している。年次総会は 6月または 7月に開催される。第2次世界大戦後の国際通貨制度の変化のなかで調査報告も含め諸国中央銀行の中央銀行として多彩な活動を展開してきた。その国際金融協力のプロセスにおいては,主要国からなる中央銀行総裁会議が中心的役割を演じている。この会議が設立した銀行監督委員会は,1988年に銀行の自己資本比率を設定した。これは国際金融リスクが増大するなかで,銀行経営の健全化をはかるもので,BIS規制とも呼ばれ,国際業務を行なうすべての銀行を対象に,行動基準とすべき行動規制や市場規制を示している。

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知恵蔵 「国際決済銀行」の解説

国際決済銀行

BIS」のページをご覧ください。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「国際決済銀行」の解説

国際決済銀行

主要国の共同出資で設立された国際銀行。1930年に設立されている。第2次世界大戦後は、主要国中央銀行の国際金融・通貨問題解決のための政策協調機関となっている。国際業務を展開する銀行に対して、一定比率以上の自己資本比率の維持を義務付ける自己資本比率規制(BIS規制)を1992年に導入した。この時の自己資本比率は8%と定められていた。2001年1月にBISのバーゼル銀行監督委員会が発表した新BIS規制は、現行の規制に加えて、格付けをはじめとする企業の信用度に応じて銀行が貸出額などを管理することを徹底するように求めている。日本は新BIS規制について2007年3月の導入を目標にしている。

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改訂新版 世界大百科事典 「国際決済銀行」の意味・わかりやすい解説

国際決済銀行 (こくさいけっさいぎんこう)

BIS

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百科事典マイペディア 「国際決済銀行」の意味・わかりやすい解説

国際決済銀行【こくさいけっさいぎんこう】

BIS(ビス)

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世界大百科事典(旧版)内の国際決済銀行の言及

【BIS】より

…国際決済銀行Bank for International Settlementsの略称。〈ビス〉ともいう。…

※「国際決済銀行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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