個人情報の保護に関する法律(読み)こじんじょうほうのほごにかんするほうりつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

個人情報の保護に関する法律
こじんじょうほうのほごにかんするほうりつ

平成15年法律57号。高度情報通信社会(→情報社会)の進展に伴って利用が拡大する個人情報について,その適正な取り扱いに関する基本理念と国・地方公共団体の責務,個人情報を取り扱う事業者の義務などを定める。略称,個人情報保護法。2003年成立,2005年全面施行。本法における個人情報とは,生存する個人に関する情報で,氏名,生年月日その他の記述によって特定の個人を識別できるものと定義される。個人情報の保護に関する法律としては,1988年に「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」(行政機関個人情報保護法。2003年「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」として全面改正)が制定されていたが,2002年の住民基本台帳ネットワークシステムの稼働後,民間の事業者が扱う情報についても早急な立法化が求められていた。当初,5000件をこえる個人情報を取り扱う個人情報取扱事業者を対象に,本人の求めに応じた情報開示や第三者への提供の制限などの義務を課し,違反した場合の罰則を定めた。報道機関,著述業,学術研究団体,宗教団体,政治団体は個人情報取扱事業者から除外された。2015年社会保障・税番号制度マイナンバー制度)関連法とともに改正され,個人情報に関する規制づくりや監督を担う第三者機関個人情報保護委員会設置を定めたほか,不当な利益をはかる目的での個人情報の提供・盗用を罰するデータベース提供罪,個人の経済活動などを把握してビジネス,行政などに利用するため個人を特定できないよう個人情報を部分的に削除した「匿名加工情報」の規定などが設けられた。また取り扱い情報が 5000件以下の事業者も対象となった。

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