百科事典マイペディア 「倭文荘」の意味・わかりやすい解説
倭文荘【しとりのしょう】
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美作国久米郡倭文郷(現岡山県津山市,旧久米町)に成立した荘園。立荘年次・成立事情は不詳。1184年(寿永3)4月の源頼朝下文(案)が,当荘を含む賀茂別雷神社領42ヵ所に対する武士の狼藉停止を命じているのが初見。鎌倉後期には同社社務が領家・預所職一円知行権を相伝している。下って1448年(文安5)には,荘内の祥雲寺を〈領家〉と記す史料が現れるが,賀茂社との関係は不明。戦国期にも依然社務領として存続しているが,実態は同社氏人惣中が現地からの公用銭(年貢)収納権を有し,社務は〈分一〉としてその15%を受け取るにすぎなかった。当時,守護赤松氏の被官小倉,大河原氏とか,のちには宇喜多氏の家臣江原,蘆田氏らが代官職を請け負う体制の下で,初めは年間360貫文上納の定めであったが,1513年(永正10)以後は半減し,それさえ未進が常態化した。賀茂社の収納が確認できる最終年次は85年(天正13)である。
執筆者:須磨 千穎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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