健児所(読み)こんでいどころ

精選版 日本国語大辞典 「健児所」の意味・読み・例文・類語

こんでい‐どころ【健児所】

〘名〙
平安時代以降、諸国国府に設置された健児が詰めている所。こんでいしょ。
朝野群載‐二二・康和二年(1100)二月二六日・国務条々事書「一、著舘日所々雑人等、申見参事此日所々雑色人等者進見参、然後一々申之〈所謂税所・大帳所・朝集所・健児所・国掌所等也〉」
② 鎌倉時代以後、足軽中間(ちゅうげん)などが詰めている所。こんでいしょ。
庭訓往来(1394‐1428頃)「健児所者、葦萱葺可支度也」

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デジタル大辞泉 「健児所」の意味・読み・例文・類語

こんでい‐どころ【児所】

平安時代、諸国の国府で健児が詰めていた所。こんでいしょ。
鎌倉時代以後、足軽中間ちゅうげんなどが詰めていた所。

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改訂新版 世界大百科事典 「健児所」の意味・わかりやすい解説

健児所 (こんでいどころ)

〈こにしょ〉〈こんでいしょ〉ともいう。平安中期以降の国衙の在庁諸分課〈所(ところ)〉の一つ。792年(延暦11)軍団兵士制の廃止にかわって設置された健児の後身。他の〈所〉と同様,目代,別当,惣判官代,書生らの職員で構成されていたと思われる。国衙での職務分掌については不明な点が多いが,健児の職務である国府兵庫の守衛国司の〈爪牙之備〉としての武力行使,儀式や神事先駆,鋳銭司旧銭など雑物の逓送などを継承したものとみて大過あるまい。10世紀以降の史料にみえる健児,健児所のわずかな実例からは,不堪佃田解文使や馳駅解文使の随員あるいは犯人逮捕のための入部を許可する国符を持つ使者として登場し,国司文書(国解,国符)の伝送にかかわっていること,〈健児非違両直〉〈健児幷検非両使〉のように検非違所と連称され,荘園の収公,不入荘園への入部など検非違所とともに検察機能にもかかわっていたことが注目される。いずれも健児の本来的職務から派生したものと思われる。
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