〈こにしょ〉〈こんでいしょ〉ともいう。平安中期以降の国衙の在庁諸分課〈所(ところ)〉の一つ。792年(延暦11)軍団兵士制の廃止にかわって設置された健児の後身。他の〈所〉と同様,目代,別当,惣判官代,書生らの職員で構成されていたと思われる。国衙での職務分掌については不明な点が多いが,健児の職務である国府兵庫の守衛,国司の〈爪牙之備〉としての武力行使,儀式や神事の先駆,鋳銭司旧銭など雑物の逓送などを継承したものとみて大過あるまい。10世紀以降の史料にみえる健児,健児所のわずかな実例からは,不堪佃田解文使や馳駅解文使の随員あるいは犯人逮捕のための入部を許可する国符を持つ使者として登場し,国司文書(国解,国符)の伝送にかかわっていること,〈健児非違両直〉〈健児幷検非両使〉のように検非違所と連称され,荘園の収公,不入荘園への入部など検非違所とともに検察機能にもかかわっていたことが注目される。いずれも健児の本来的職務から派生したものと思われる。
執筆者:下向井 竜彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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