改訂新版 世界大百科事典 「側線器官」の意味・わかりやすい解説
側線器官 (そくせんきかん)
lateral line organ
円口類,魚類および一部の両生類の頭部や体側の皮膚に並ぶ機械刺激受容器の総称で,主として水流や水圧の変化を感じる。一つ一つの受容器は感丘neuromastと呼ばれ,タマネギ状のきわめて小さい器官で,表面に突出するゼラチン質のクプラcupulaという薄膜をそなえる。このような構造は高等動物の内耳の聴器や平衡器にもみられる。表皮下を走る側線管内に並ぶ感丘を管器canal organ,皮膚の陥入部に散在する感丘を孔器pit organと呼ぶ。円口類では体表に露出する遊離感丘しかない。サメの仲間や硬骨魚類では,うろこの下を走る側線管内に並び,うろこの間あるいはうろこ上の穴を通して体表と連絡する管器と,体表に点在する孔器とがある。両生類では感丘はふつう幼生に限って体表に存在し,変態期に消失する。しかし一生水中で生活するアフリカツメガエルでは数個ずつの感丘群が体側に一定の間隔をおいて並び,その位置は縫目模様になってみえる。サメの仲間や一部の発電魚は側線器官のほかに孔器に似たアンプル状の器官をそなえるが,これは電気受容器である。
執筆者:岩井 保
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報