僧綱補任(読み)そうごうぶにん

改訂新版 世界大百科事典 「僧綱補任」の意味・わかりやすい解説

僧綱補任 (そうごうぶにん)

僧綱の補任歴名記。6巻。推古32年(624),天武2年(673),文武2-永治2年(698-1142)の僧綱に補任された僧の名,初任昇進略伝入滅などを編年体で記す。承和1年(834)以降の記述には僧綱任命と密接な資格となる已講(いこう)(南都三会の講師をつとめた僧。のち天台三会にもいう)に関連する興福寺維摩会(ゆいまえ)講師名を記し,のちには他の已講にかかわる法会の講師名,さらにこれに準ずる最勝寺灌頂(かんぢよう)などのことを記している。裏書は当時の主要事件,寺院等の造立焼失,僧綱関連の詔勅官符,その他を記載する。興福寺本が現存最古の写本。《大日本仏教全書》所収。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「僧綱補任」の解説

僧綱補任
そうごうぶにん

僧綱を構成する僧の名称・職名・僧位略歴などを年次ごとに記述した書。編者・成立年代は未詳。平安末書写の興福寺本(重文)は,現存する同名の書のなかで最も完備したもの。624年(推古32)に始まり,698年(文武2)からは毎年となり,1142年(康治元)までを記述。「大日本仏教全書」所収。なお本書を増補したのが平安末期の東大寺僧恵珍(えちん)編「僧綱補任」であり,その残欠本が「七大寺年表」の書名で現存。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「僧綱補任」の意味・わかりやすい解説

僧綱補任
そうごうぶにん

推古 32 (624) ~康治1 (1142) 年の間,僧綱に補任された僧侶一覧表。6巻 (興福寺本) 。編者不詳。僧綱初任,昇任,入滅および承和4 (837) 年以降は僧綱任命と関係の深い興福寺維摩会講師のことなどを,該当年次の項に注記している。僧侶の伝記研究の基礎史料。なお,興福寺本のほかに,同名の書が数種類ある。

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