僧の位階の意。日本特有の制度であって、僧の智徳(ちとく)や学識に応じて位が与えられた。760年(天平宝字4)大僧都(だいそうず)良弁(ろうべん)、小僧都慈訓(じくん)、律師(りっし)法進(ほうしん)らの奏請によって初めて四位十三階の僧位が定められた。光仁(こうにん)天皇(在位770~781)のとき、僧綱(そうごう)職を官位にあて、僧正(そうじょう)を従(じゅ)四位、僧都を正五位、律師を従五位に配した。さらに桓武(かんむ)天皇(在位781~806)のとき、無位(むい)、入位(にゅうい)、住位(じゅうい)、満位(まんい)、法師位(ほうしい)、大法師位(だいほうしい)の六位が定められ、官位の八位からしだいに三位までに配した。864年(貞観6)には、法橋上人(ほうきょうしょうにん)位、法眼和尚(ほうげんおしょう)位、法印(ほういん)大和尚位の三階が設けられ、法印大和尚位を僧正階に、法眼和尚位を僧都階に、法橋上人位を律師階に配した。江戸時代になると、僧位は天台・真言(しんごん)宗などに限られ、叙任(じょにん)奏請の規定もそれぞれに異なった。1873年(明治6)太政官布達(だじょうかんふたつ)により僧位の制は廃止され、その後は管長制度が設けられ、各宗派により僧正・僧都などの称号を設け、その高下によって僧の座の次第が定められるようになった。
[望月良晃]
僧に与えられた位階。7世紀末から8世紀中ごろには師位,半位,複位の名称が見えるが,760年(天平宝字4)良弁(ろうべん)らは奏上して賢大法師位(けんだいほつしい)を最上としてその下に伝灯,修学,修行,誦持(じゆじ)の系列ごとの大法師位,法師位,満位(まんい)からなる〈四位十三階〉の制定をもとめた(各系列にはさらに住位,入位があった)。しかし全位にわたっては施行されず,8世紀末になると賢大法師位はなくなり,伝灯,修学,修行の3系列にそれぞれ大法師位,法師位,満位,住位,入位の5級に整備された。平安時代には修学,修行の2系列も消え,しかも盛んに昇叙されるため,僧綱(そうごう)はほとんど伝灯大法師位となった。そこで864年(貞観6)僧綱の位階として法印大和尚位(ほういんだいかしようい),法眼和上位(ほうげんかしようい),法橋上人位(ほつきようしようにんい)の3階を設けた(法印,法眼,法橋)。俗官の位階と同様に,成功(じようごう)による叙位や死後の贈位があり,また仏師,絵師,医師,儒者などにも僧位を与えることがあった。1873年(明治6)に廃止された。
執筆者:中井 真孝
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