日本大百科全書(ニッポニカ) 「大日本仏教全書」の意味・わかりやすい解説
大日本仏教全書
だいにほんぶっきょうぜんしょ
日本撰述(せんじゅつ)の仏教書籍を集大成した叢書(そうしょ)。全161冊。1911年(明治44)高楠順次郎(たかくすじゅんじろう)、大村西崖(せいがい)、望月信亨(もちづきしんこう)が企画、仏書刊行会を設置し、南条文雄(なんじょうぶんゆう)を会長として、翌12年から22年(大正11)までに刊行。目録、総記、諸経、華厳(けごん)、法華(ほっけ)、台密(たいみつ)、真言(しんごん)、悉曇(しったん)、浄土(じょうど)、融通念仏(ゆうずうねんぶつ)、時宗、戒律、三論、法相(ほっそう)、因明(いんみょう)、倶舎(くしゃ)、起信、禅宗、行事、宗論、史伝、補任、系譜、地誌、寺誌、日記、詞藻(しそう)、雑の28部門がたてられ、概数で953部3396巻の典籍が収められている。日本撰述の仏教書籍は、このほか『伝教大師(でんぎょうだいし)全集』、『弘法(こうぼう)大師全集』など個人全集や、『大正新修大蔵経』『日本大蔵経』などにも収載されるが、この全書に先行する全集叢書のものは省かれており、併用することによって補完しあえる。本全書は、近代文献学の成果を踏まえて、異本との校合(きょうごう)、欠巻の補完、頭注、傍注、朱書の明示、割注、句点訓点の追加などにくふうがなされ、信頼が置ける。完成後、1940年代まで復刊が繰り返され、別巻に恵什(えじゅう)の図像集『十巻抄』10巻がある。近くは1973年(昭和48)鈴木学術財団が新編成100巻で刊行。83年には名著普及会が原版を復刻した。
[木内曉央]