先天性内反足(読み)せんてんせいないはんそく(英語表記)Congenital clubfoot

六訂版 家庭医学大全科「先天性内反足」の解説

先天性内反足
せんてんせいないはんそく
Congenital clubfoot
(運動器系の病気(外傷を含む))

どんな病気か

 足(足首から先)が、内反、尖足(せんそく)を伴って硬い変形を起こした状態で、出生時にみられます(図7)。

原因は何か

 足部の骨格の形態異常、胎内での足の回旋異常、神経麻痺などの説があります。

症状の現れ方

 内反、内転、尖足の3要素からなる変形がみられます。

 内反とは内側に捻れた状態ですが、正確には、後方から見て(かかと)の骨が脛骨(けいこつ)(すね)に対して体の中央寄りに回転した状態です。内転は水平面で足先が親指側に向いた状態、尖足とは足全体が下を向き、足先が上方(甲のほう)に上がらない状態です。

 重症内反足で未治療の場合では、起立時に足底で接地できず、足が裏返って甲で接地して歩行することになります。

検査と診断

 生後間もない赤ちゃんは、力を抜いた状態だと外観的に内反の形を示しますが、通常の力で中間の位置まで簡単に戻ります。しかし、先天性内反足では変形が硬く、通常の力で戻そうとしても中間の位置まで戻りません。

 骨の形の詳細、変形の程度を判定するためにX線検査が行われます。

治療の方法

 発見後、生後間もなくからギプス矯正が繰り返し行われ、軽症の場合は改善できます。しかしギプス療法でも治らない場合も多く、時に手術療法が必要になる場合もあります。

病気に気づいたらどうする

 治療には高度の専門的知識と技術をもった整形外科医への受診が必要です。

奥住 成晴


先天性内反足
せんてんせいないはんそく
Congenital clubfoot
(子どもの病気)

どんな病気か

 片足または両足が出生時、すでに固く内反した(内側に反った)状態で、内転、尖足(せんそく)の変形も加わっています(図28)。他の病気(神経筋疾患や骨系統疾患など)に伴う内反足は、通常、除外されます。先天性内反足は出生1000~2000人に1人の頻度でみられます。

原因は何か

 原因として多くの遺伝的因子が関与していると推定されますが、骨、筋、靭帯(じんたい)、関節のどこに本質的異常があるのかはわかっていません。

症状の現れ方

 美容上の問題のみでなく、放置すると跛行(はこう)(片足が正常に動かず、引きずるように歩くこと)、疼痛、骨折など機能上の障害を生じます。

検査と診断

 まず足を矯正(きょうせい)位にしてX線撮影を行い、足の骨の位置関係を調べます。

検査と診断

 出生後できるだけ早く治療を開始します。初期治療として、多くの場合、矯正ギプスが用いられます。この場合、整形外科専門医が手で骨の配列を矯正し、この矯正位を保つよう、膝上から足先までギプスを巻きます。乳児期から幼児期にかけての治療は重症度により異なり、症例によって装具療法(デニス・ブラウン装具など)や手術(種々の軟部組織開離術)が使い分けられます。手による矯正のみで手術なしに治癒する症例は15%ほどといわれます。

病気に気づいたらどうする

 小児の整形外科専門医の診察を受けます。

水口 雅


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「先天性内反足」の解説

先天性内反足
せんてんせいないはんそく
congenital club foot

生れつき足が内反足,内転足,尖足,凹足位に固定している状態。原因としては,胎生期の発育抑制,子宮内の圧迫遺伝などの諸説がある。 1000例の出産に1例の割合で発生し,男性は女性の約2倍である。生後ただちに治療を開始する必要がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

家庭医学館「先天性内反足」の解説

せんてんせいないはんそく【先天性内反足 Congenital Clubfoot】

[どんな病気か]
 片方または両方の足全体が内側に反り返り、足の裏が向かい合っているような状態を内反足(ないはんそく)といいます。生後に足の先が下を向いてしまう尖足(せんそく)、足の先が親指のほうに曲がっている内転足(ないてんそく)、足の裏のカーブ(土踏まず)が高い凹足(おうそく)といった変形が合併したものを先天性内反足といいます。
[治療]
 生後、このような変形に気づいたら、すぐに矯正(きょうせい)マッサージやギプスによる矯正を行ないます。その後、矯正靴などの装具をつけて、正しい状態を保つように治療が続けられます。少なくとも数年間は、変形が再発していないかどうか診察してもらうことがたいせつになります。
 矯正が十分でない場合には、手術が行なわれることもあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

世界大百科事典内の先天性内反足の言及

【尖足】より

…足関節が底側に屈曲,拘縮して背側に屈曲できなくなった状態で,その原因はさまざまである。最も多いのは先天性内反足の尖足であるが,この場合の尖足変形は内反変形や内転変形などと組み合わされた形をとっている。麻痺性尖足は,ポリオ,二分脊椎(脊髄髄膜瘤),シャルコー=マリー=トゥース病,腓骨神経麻痺などの弛緩性麻痺により,背屈筋の筋力が低下または消失することにより生ずる。…

【内反足】より

…足が内反・内転・尖足位の形をとる変形を総称し,先天性のものと後天性のものとがある。先天性内反足は,足の先天奇形のなかで最も多く,代表的な奇形であり,約1000人に1人の率で発生し,男子は女子の2倍多く,多因子遺伝によるとされている。足根骨の配列が変わって脱臼したようになり,靱帯(じんたい)や腱も短縮している。…

※「先天性内反足」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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