日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
児童相談所虐待対応ダイヤル
じどうそうだんじょぎゃくたいたいおうだいやる
児童虐待を受けたと思われる子どもを発見したときに、児童相談所にその事実を通告したり、子育てに悩んだときなどに、相談したりできる全国共通の無料電話。番号は「189(いちはやく)」。児童虐待への対応には、虐待の発見に続く児童相談所などへの通告が不可欠である。そのためには、学校や病院、警察などの施設や機関だけでなく、市民による通告が重要であるとの認識から、その促進が図られてきた。当初は、各児童相談所の電話番号が使われたが、2009年(平成21)10月からは児童相談所全国共通ダイヤルとして全国の児童相談所共通の10桁(けた)の電話番号(0570-064-000)が利用された。その後、よりわかりやすく、ためらわないで通告できるよう、2015年7月からは「189」の運用と周知がなされるようになった。2019年(令和1)12月には、児童相談所虐待対応ダイヤルに名称が変更されている。さらに、児童相談所につながるまでの音声ガイダンス時間の短縮や携帯電話からかけた場合の操作の手間の削減などが行われたことにより、入電数・接続率は増加・上昇した。通告の電話は、地元の児童相談所に自動的に転送され、とくに虐待通告の緊急相談は、専門職員が24時間365日対応している。電話は匿名でも可能であり、通告をした者の個人情報や内容に関する秘密は守られ、電話料金は無料である。「189」に加えて、子育てや親子関係の悩み、不安、イライラなどへの対応として、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及を踏まえ、「親子のための相談LINE」の運用が2023年2月から開始された。このほか、出産や子育てに関する悩みなど子どもの福祉に関して相談できる、全国共通の「児童相談所相談専用ダイヤル:0120-189-783(いちはやく・おなやみを)」も開設されている。
[吉田恒雄 2025年2月14日]