入声(読み)ニッショウ

デジタル大辞泉 「入声」の意味・読み・例文・類語

にっ‐しょう〔‐シヤウ〕【入声】

漢字四声しせいの一。屋・よく・覚・質・物・月・かつかつせつ・薬・はくしゃく・職・しゅう・合・葉・こうの17の類の字に分ける。これに属する字はすべて仄韻そくいん文字で、発音が短く急である。日本語ではチ・ツ・ク・キ・ウ(歴史的かなづかいではフ)で終わるもの。

にっ‐せい【入声】

にっしょう(入声)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「入声」の意味・読み・例文・類語

にっ‐しょう ‥シャウ【入声】

〘名〙
① 漢字の四声の一つ。韻尾がk・t・pで終わるもの。にっせい。
悉曇蔵(880)二「言四声四音者、平声上声去声入声」
② 日本で、中国における漢字の四声に基づいて、漢字音尾が、ク・キ・ツ・チ・フで終わるもの、および、まれに日本語の促音便をさした名称。にっせい。入声字。
無名抄(1211)「撥ねたる文字、入声の文字の書きにくきなどをば、皆捨てて書くなり」
[補注]入声の音の高低に軽と重とを分けるというのが、日本における平安初期以来の説である。明覚の整理したところによれば、低いのが重であり、高いのが軽であるということになっている。

にっ‐せい【入声】

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普及版 字通 「入声」の読み・字形・画数・意味

【入声】につしよう(しやう)

漢字の四声の一。尾韻がk・t・p・f、国字音でフ・ツ・ク・チ・キで終わるものがそれにあたる。〔南斉書文学、陸厥伝〕上去入を以て四聲と爲し、此れを以てを制し、減すべからず。

字通「入」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の入声の言及

【字音】より

…ただしFやM,(解釈により)Iはないこともあり,またMは複数の場合もある。またTの第4声調(入声(ニツシヨウ))はFの一部である。字音の例を示すと(以下中古字音は三根谷徹の再建により/ /でくくって示す。…

【四声】より

…中国語において,平声,上声,去声,入声の四つの声調をいう。声調toneは,本来,音節全体にかかる高低の対立であるが,常に高低の問題として考察されたわけではない。…

【中国語】より

…なお,この共通語において四声と呼ばれる声調のセットと,漢詩など古典文学における〈四声〉との関係は大略図のようなものである。 昔の四声にあって今の四声にはない〈入声(につしよう)〉という調形は,今たとえば広東(カントン)方言では‐p,‐t,‐kと表記されるような子音韻尾をもつものに対応し,日本の漢字音としてはそれはそれぞれ仮名2字以上であらわされ,かつその下の字が歴史的仮名づかいで‐フ,‐ツ・‐チ,‐ク・‐キとなる。入声は,中国北方語では,調形としては共通語におけるようにだいたいは消滅して他の声調の中に入り込んでいるのである。…

※「入声」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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