NASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心として、諸外国との国際協力により実施される、全地球規模での降雨を観測する計画。「全球降水観測」はGlobal Precipitation Measurementで、略称GPM。GPM計画ともいう。
降雨は地表の状態(山岳、森林、砂漠など)や海水温などのさまざまな要因により、非常に局在化して旱魃(かんばつ)や洪水を引き起こす。また、温暖化により、水の大循環の局在化や発生頻度の振幅が増大することが懸念されている。それらの原因と因果関係を調べるために、熱帯降雨観測衛星(TRMM(トリム):Tropical Rainfall Measuring Mission)がNASAと日本の宇宙開発事業団(現、宇宙航空研究開発機構)、通信総合研究所(現、情報通信研究機構)の共同人工衛星として1997年(平成9)11月に種子島(たねがしま)宇宙センターよりH-Ⅱロケット6号機により打ち上げられ、重要な地球規模の観測データを提供している。さらにGPM計画では、TRMMの後継となるGPMコア衛星と降雨を観測できる10機程度のコンステレーション衛星により、全球降水の高精度かつ高頻度観測を目ざす。GPMコア衛星は2014年(平成26)2月にH-ⅡAロケット23号機で打ち上げられ、太陽非同期軌道を周回している。軌道傾斜角は約65度、高度は約407キロメートルである。コア衛星は、アメリカが開発した衛星本体にGPMマイクロ波放射計(GMI:GPM Microwave Imager)、および日本が開発した2周波降水レーダー(DPR:Dual-frequency Precipitation Radar)を搭載する。GPMコア衛星は、DPRおよびGMIによる同時観測により、全観測データの校正器(キャリブレーター)として機能することで、コンステレーション衛星を含めたマイクロ波放射計の降水観測精度を向上させている。とくに日本が開発した2周波降水レーダーは、TRMMの降雨レーダー(Precipitation Radar)では得られない二つの周波数で降雨を同時に観測して、熱帯の強い雨だけでなく、高緯度の弱い降雪も高精度で観測できるようになった。GPMコア衛星と連携するコンステレーション衛星のデータを統合して、全球的な降雨情報がインターネットで公開されている。
[編集部 2023年8月18日]
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新