分子動力学(読み)ブンシドウリキガク(その他表記)molecular dynamics

デジタル大辞泉 「分子動力学」の意味・読み・例文・類語

ぶんし‐どうりきがく【分子動力学】

物質状態やさまざまな物理現象を、分子または原子の微視的なふるまいから説明する学問領域。近年コンピューターシミュレーション能力が急速に発達するにつれ、分子間力をはじめ、より多くの分子や原子の間にはたらく力や、位置、状態を取り扱うことが可能となり、巨視的な現象を従来にくらべて正確に予測・再現できるようになった。モレキュラーダイナミクス。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分子動力学」の意味・わかりやすい解説

分子動力学
ぶんしどうりょくがく
molecular dynamics

(1) 分子の動的な過程を研究する分野。分子の電子状態,振動状態,回転状態および並進状態の変化,分子間衝突に伴う化学反応,さらに分子と光子との相互作用について分子レベルで解明する。レーザーの著しい進歩と改良により,分子の特定の状態を選択的に得ることができるようになり,近年大きく進歩した。 (2) 液相や凝縮相における統計力学的な諸物理量を,それを構成する分子や原子の間に作用するポテンシャルを用いて数値的に求める学問。コンピュータ発展に伴い,数値計算が容易になり,得られた諸物理量を実験値と比較することにより,用いたモデルの妥当性が検討できる。

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世界大百科事典(旧版)内の分子動力学の言及

【量子化学】より

水素結合はOH結合がO-δ-H+δと分極していることに由来するファン・デル・ワールス力が最も重要であるが,電荷移動力の寄与も無視できないことが示されている。分子間力
[分子動力学]
 分子と電子・原子・分子間の衝突に伴ってエネルギー移動や化学反応が起こるが,この際の原子核や電子の運動も量子化学で取り扱われている。たとえば,化学反応に際し活性化状態付近で原子核がポテンシャルエネルギー面を透過するトンネル効果が重要な役割をはたす。…

※「分子動力学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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