精選版 日本国語大辞典 「切返」の意味・読み・例文・類語
きり‐かえし‥かへし【切返】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 「きりがえし」とも ) 切り返すこと。相手が切りつけて来たのに対して、逆に切りつけること。
- ② 剣道で、まず相手の正面を打ち、次に左右の面を数回打つことを繰り返す練習法。
- [初出の実例]「閑があればよく刀を抜いて一人で『切返(キリカヘ)し』の稽古をしてゐたが」(出典:戊辰物語(1928)〈東京日日新聞社会部〉戊辰物語上)
- ③ 柔道で、相手が技を仕掛けてくるところを逆にとって倒す技。
- ④ 相撲の決まり手の一つ。相手の膝の外側に自分の膝を当てて横後ろにひねり倒す。〔現代文化百科事典(1937)〕
- ⑤ 相手の意見に反論、反駁すること。
- [初出の実例]「現在は、一つの、新カナ漢字制限論者にとっては切り返えしの段階に来ている、ともいうことが出来るであろう」(出典:鉛筆ぐらし(1951)〈扇谷正造〉〝宵の強盗〟その他)
- ⑥ 田の土を掘り返し、細かく耕すこと。田解(たほどき)。
- ⑦ 一旦荒廃した新田を復旧させること。
- ⑧ 樹木剪定(せんてい)法の一つ。枝のすべてをその途中から切って短くすること。
- ⑨ 壁仕上げの一つ。中塗の上を切り返して上塗りするところを、上塗りをしないで、ざんぐりとした趣を出したもの。
- [初出の実例]「壁は中ぬりの切りかへし、戸は檜木の長へぎ」(出典:鳩翁道話(1834)三)
- ⑩ モルタルやコンクリートを手練りするとき、シャベルで一方から他方へ打ち返していくこと。
- ⑪ ( [英語] cut back の訳語 ) 映画で、関連のある二つの場面を交互に挿入して劇的効果を高める方法。