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柔道 じゅうどう

8件 の用語解説(柔道の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

柔道
じゅうどう

1882年嘉納治五郎が創始した「日本伝講道館柔道」をいう。日本古来の柔術に研究と創意を加え近代化したもので,体育・勝負・修心という人間形成の道をきわめることを目的とした。技術は投技固技当身技 (あてみわざ) の3部門に分かれ,練習法は乱取 (らんどり) と形に大別される。

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知恵蔵2015の解説

柔道

嘉納治五郎が古来の柔術を改良し、1882年に創設した講道館を中心に発展させた。嘉納はその根本原理を「心身の力を最も善く使用する道」(精力善用)と説き、「己を完成し、世を補益すること」(自他共栄)を柔道修行の目的とした。1964年の東京大会で五輪正式競技となる。国際柔道連盟(I JF:International Judo Federation)加盟は、2006年8月現在195カ国・地域。試合は2人の競技者が約9m四方の畳の上で、投げ技、固め技によって勝敗を競う。IJFが定める技は投げ技が66本(手技16、足技21、腰技10、真捨て身技5、横捨て身技14)、固め技は29本(抑え込み技9、関節技9、絞め技11)。勝敗を決める技の判定基準は(1)一本、(2)技あり、(3)有効、(4)効果の4段階で、技あり2回で一本となる。反則を犯すと指導が審判から言い渡される。その度合いによって(1)効果、(2)有効、(3)技あり、と同等のポイントが順に相手に与えられ、最後は反則負けとなる。試合時間は5分間。一本勝ちはその時点で試合が終了する。両者のポイントが並んだ場合はどちらかがポイントをあげるまで試合を続行するゴールデンスコア方式の延長戦(最長5分間)が、03年から採用された。延長戦でも勝敗が決まらなかった場合判定となる。大半の試合は体重別で実施され、男子は60kg、66kg、73kg、81kg、90kg、100kg、100kg超、女子は48kg、52kg、57kg、63kg、70kg、78kg、78kg超の各7階級と無差別級。IJFは1997年、一方の選手が青色の柔道着を着用するカラー柔道着の採用を決定したが、国内大会などでは伝統の白い柔道着のみが使用されている。女子柔道は92年バルセロナ大会から五輪正式種目に。欧米に比べて強化が遅れた感のあった日本だが、84年に日本女子初の世界チャンピオン(52kg級)になった山口香、世界選手権で前人未到の6連覇を果たした48kg級の谷(旧姓・田村)亮子らの活躍で人気競技になった。講道館内規では、女子の帯は真ん中に白い線を入れると定められている。

(安藤嘉浩 朝日新聞記者 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

じゅう‐どう〔ジウダウ〕【柔道】

日本古来の柔術諸流派をもとに、明治15年(1882)嘉納治五郎によって創始された格闘技。心身を鍛練修養し、青少年の教育に貢献することを目的とした。技は、投げ技・固め技・当て身技の3部門から成る。第二次大戦後、スポーツとして世界的に普及。

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百科事典マイペディアの解説

柔道【じゅうどう】

講道館柔道。日本古来の柔術(やわら)諸流派の技(わざ)を,1882年嘉納治五郎が体育,修心,護身の観点からまとめてスポーツ化したもの。1911年から学校教育にも採用され,第2次大戦後占領軍により一時禁止された(1951年解除)。
→関連項目合気道アトランタオリンピック(1996年)護身術サンボ接骨師ソウルオリンピック(1988年)谷亮子日本武道館バレーボールヘーシンクロサンゼルスオリンピック(1984年)

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日本文化いろは事典の解説

柔道

「柔よく剛を制す」 相手の力を利用して相手を制する。そうすれば小さい者でも大きな者を倒すことができる。これが柔道の基本理念です。オリンピックのような大きな大会でも小さな日本の選手が大きな海外の選手を投げ飛ばす姿を見ることがあります。まさに基本理念を体現した結果です。

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世界大百科事典 第2版の解説

じゅうどう【柔道】

古来の柔術に改良を加えて創始された武道。嘉納治五郎は体育,修心,勝負を目的とする教育的観点から講道館柔道を創始した。現在は世界的に普及するスポーツの一つとなっている。
【歴史】
 柔道の技術的な源は,日本古来の徒手格闘である力競べや相撲に求められる。奈良・平安時代に朝廷で催された節会(せちえ)相撲が,やがて武士階級の間で武技として練り磨かれるようになり,戦場において武士が取っ組み合い,相手を投げ倒して組み敷き討ち取る組討の術として発達した。

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大辞林 第三版の解説

じゅうどう【柔道】

1882年(明治15)嘉納治五郎が講道館を創立し、柔術を改良して創始した格技。心身を鍛練し、その力を最も有効に使用する道を体得させようとするもの。投げ技・固め技・当て身技の三部門からなり、さらに投げ技は立ち技と捨て身技、固め技は抑え込み技と絞め技と関節技にそれぞれ分かれる。当て身技は危険なため試合では禁止されている。 → 柔術

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

柔道
じゅうどう

柔道とは、徒手を主体とした攻撃・防御を行う武道の一種。練習することで心身を鍛錬し、その力をもっとも有効に使用する道であると同時に、人間形成の道である、と創始者の嘉納治五郎(かのうじごろう)は説いている。[竹内善徳・村田直樹]

沿革

柔道は、1882年(明治15)に始まるが、その技術的な源は日本古来の徒手格闘である力競べや相撲(すもう)に求められる。奈良・平安時代に武技奨励のため節会(せちえ)相撲が行われたが、やがて武士の戦場での組み討ちの術へと発達した。16世紀ころから、この組み討ちの術がさらに発達し、捕縛の術や活殺の術が研究工夫された。妙手を発明し、それらの技術を組織だて体系化して、門弟に教え、おのおのの流派を名のるようになった。初めは、組み討ち、鎧(よろい)組み討ち、小具足、捕手(とりて)、捕縛、腰の廻(まわ)り、白打(はくだ)、拳法(けんぽう)(やわら)、和術、柔術、体術などとよばれたが、やがてこれら無手または短い武器をもって、無手または武器をもっている相手を攻撃・防御する術を総称して一般に柔術とよぶようになった。江戸時代にはさらに発展して、武士の武芸の一つとして修練され、隆盛を極め、多くの名人や達人が輩出した。
 おもな柔術流派には、竹内流(たけのうちりゅう)、堤宝山流(つつみほうさんりゅう)、荒木流、関口流、渋川流、制剛流、福野流、三浦流、楊心流(ようしんりゅう)、扱心流(きゅうしんりゅう)、直信流(じきしんりゅう)、起倒流(きとうりゅう)、真之神道流(しんのしんとうりゅう)、天神真楊流(てんしんしんようりゅう)などがある。明治時代になり、外国文化が流入して、固有の文化はほとんど顧みられない風潮となって、柔術も剣術などとともに廃れていった。それが柔道として今日にみるような発展を遂げたのは嘉納治五郎の功績である。子どものころからからだを鍛えようとして柔術を探し求めていた嘉納は、1877年(明治10)念願がかなって、天神真楊流の福田八之助に入門し修行に励んだ。その後同流の磯正智(いそまさとも)について学び、飯久保恒年(いいくぼつねとし)について起倒流を学んだ。さらにその他の流派をも研究し、その心身に与える効果の絶大なことを知り、青少年の教育には欠くことのできないものであることを信じて、1882年東京・下谷(したや)北稲荷(きたいなり)町の永昌(えいしょう)寺において講道館柔道を創始した。柔道の目的を体育、勝負、修心の三つに置き、新しい教授方法をも取り入れて、柔道による教育の研究、普及に努力した。
 柔道の技術は、天神真楊流から固め技、当身(あてみ)技、起倒流から投げ技の長所をとり、さらに他流派の長所をも取り入れ、自分の創意工夫をも加えて、1887年(明治20)ごろに技術体系をほぼ完成した。1895年には投げ技の指導要目である五教の技42本が制定された。古流を圧倒した投げ技部門は、講道館における投げ技重視の方針、自然体など基本動作の確立と、学理による新技の開発、軽妙自在な乱取(らんど)りの実現、乱取り・形(かた)併用の練習法、試合審判規定の制定、柔道衣の改善などによって大きく発展した。五教の技は1920年(大正9)に改正され、現在ある第一教から第五教まで各8本ずつ、計40本となった。固め技については、最初は十分とはいえなかったが、大正時代に行われた全国高等専門学校の試合において大いに向上発展をみるに至った。当身技は、形の方法で練習されたが、優れた古流の当身は講道館制定の形に包含された。柔道創始後数年を経て、真剣勝負の形13本がつくられ、1907年(明治40)には極(きめ)の形20本が制定された。その後、精力善用国民体育、女子護身法、講道館護身術などが考案された。形としてはほかに投げの形、固めの形、柔(じゅう)の形、剛(ごう)の形、五(いつ)つの形、古式(こしき)の形などがある。
 柔道の思想的発展は、まず勝負の理論としての柔の理から発し、人間生活全般に応用できるものと考えられていたが、その後の研究により、柔道は心身の力をもっとも有効に使用する道であるとの原理に至った。嘉納は大正初期にこの原理に至り、次のように説いている。「柔道は心身の力をもっとも有効に使用する道である。その修行は、攻撃・防御の練習によって身体・精神を鍛錬修養し、斯道(しどう)の神髄を体得することである。そうして是(これ)によって己を完成し、世を補益するが柔道修行の究竟(きゅうきょう)の目的である」とし、この理念を「精力善用」とよんだ。さらにこの精力善用に対し、社会的・倫理的考察を加えて、「自他共栄」の精神が強調された。今日、全柔道修行者の最終目標は、この精力善用、自他共栄の二大道標にある。このような技術・原理に基づいた柔道は、その教育的価値が認められて、国内はもとより広く海外にも普及・発展していった。
 柔道は警察学校の科目の一つとなっている。一般学校教育では、1883年(明治16)学習院において、1887年には帝国大学において有志による練習が始まっている。その後、各学校に柔道部が創設され盛んになっていった。正科体育としては、1911年(明治44)師範学校と中学校の男子に教科として取り入れられたのをはじめとし、1931年(昭和6)正科体育の必修となった。その後、小学校5年以上の男子にも課せられて重要な教科となった。第二次世界大戦後、学校における柔道は禁止されたが、やがて解除された。2012年(平成24)4月から、中学校の保健体育の必修科目である「武道」のなかの一つとなっている。
 1949年(昭和24)に全日本柔道連盟が結成され、続いて全日本学生柔道連盟や高等学校体育連盟柔道部などが結成されて、全国的な各種大会が開催されている。海外においても、ヨーロッパにおける柔道熱が盛んとなり、1948年ヨーロッパ柔道連盟が結成された。他の大陸の国々や日本が加盟して国際柔道連盟International Judo Federation(IJF)が1952年正式に発足し、世界選手権大会をはじめ、多数の国際大会が開かれるに至った。なお柔道は、オリンピック東京大会(1964)以来正式種目として採用されている。1992年から女子柔道もオリンピックの正式種目に採用された。2012年時点で約200の国と地域が国際柔道連盟に加盟している。[竹内善徳・村田直樹]

柔道の技

投げ技、固め技、当身技の3部門からなっている。以下は主な技の説明である。[竹内善徳]
投げ技
相手を投げ倒す技で、立ったままの姿勢で投げ倒す立ち技と、自分の身体を倒しながら相手を投げる捨身(すてみ)技とがある。
 立ち技は、主として力の働く部位の違いによって、〔1〕手技、〔2〕腰技、〔3〕足技に分けられる。
〔1〕手技
(1)背負い投げ 相手を前か前隅(すみ)に崩しながら背負って前方に投げる技。前襟を握ったまま掛ける襟背負い(双手(もろて)背負い)投げと、襟を持たずどちらかの腕を抱えて掛ける一本背負い投げなどがある。
(2)体落し 相手を前隅に崩しながら、片足を踏み伸ばしてその出足を止め、上体を引き落として投げる技。
(3)肩車 相手を前隅に崩して、両肩に担ぎ上げ、体を引き落として投げる技。
〔2〕腰技
(1)大腰(おおごし) 相手を前に崩しながら、深く腰を入れて相手を後ろ腰にのせ、そこを支点に前に回転させて投げる技。
(2)つり込み腰 相手を前か前隅につり上げながら崩し、その前もものあたりを後ろ腰で支え、そこを軸にして大きく回転させて投げる技。袖(そで)をとってつり込むと袖つり込み腰となる。
(3)浮き腰 前隅に崩した相手が腰にのりかかる瞬間をとらえ、腰をひねって投げる技。
(4)払い腰 相手を前隅に崩して腰にのせ、脚の後ろ側で相手の脚を前から払い上げて投げる技。
(5)はね腰 前隅に崩した相手を、体側にのせながら足、腰で跳ね上げて投げる技。巻き込むと、跳ね巻込みになる。
(6)後ろ腰 相手を後ろから抱き上げ、真下に引き落として投げる技。
〔3〕足技
(1)膝車(ひざぐるま) 相手を前隅に崩しながら、足裏でその膝頭を支えて投げる技。
(2)支えつり込み足 相手を前隅に崩しながら相手の足首部分を足裏で支えて投げる技。
(3)大内刈(おおうちが)り 相手を後ろ隅に崩し、片足で同じ側の足を内側から刈って倒す技。
(4)大外刈り 相手を後ろ隅に崩し、片足で相手の片足を外から刈り倒す技。
(5)小内刈(こうちが)り 相手を後ろ隅に崩し、片足で相手のかかとを内側から刈り倒す技。
(6)小外掛(こそとが)け 相手を後ろ隅に崩し、片足で相手の同じ側のかかとのあたりを後方からすり上げるようにして掛けて倒す技。
(7)出足払い 相手の出足がまさに畳につこうとしたところを足で払って投げる技。
(8)送り足払い 相手を横に崩しながら足で相手の足を移動する方向に送り払って投げる技。
(9)内(うち)また 相手を前隅に崩しながら後ろももで相手の内ももを内側から払い上げて投げる技。
 捨身技には、身体の捨て方の違いによって、〔1〕真捨身技と、〔2〕横捨身技とがある。
〔1〕巴(ともえ)投げ 相手を前に崩し体をあおむきに捨てながら、足をその下腹部に当ててあげ、両手を引いて頭上越しに投げる真捨身技。
〔2〕浮き技 相手を前隅に崩しながら、足を開き、後ろに引き体を横向きに捨てて投げる横捨身技。[竹内善徳・村田直樹]
固め技
相手の身体を抑え込んで起き上がれないようにしたり、相手を絞めて制したり、関節を伸ばしたり曲げたりひねったりして制する技であり、〔1〕抑え込み技、〔2〕絞め技、〔3〕関節技に分けられている。
〔1〕抑え込み技
(1)袈裟固(けさがた)め あおむけにした相手の体側から半身となってその首を抱え、片腕を制して袈裟掛けの形に抑える技。本袈裟固めともいう。袈裟固めの形の崩れたものが崩れ袈裟固め。
(2)肩固め あおむけにした相手の体側から、その片腕と頸部(けいぶ)とを自分の片腕と頭で抱え挟んで制する技。
(3)上四方(かみしほう)固め あおむけにした相手の頭のほうからうつぶせになり、その横帯を握って両上腕部と上半身を制する技。形の崩れたものが崩れ上四方固め。
(4)横四方固め あおむけにした相手の体側からうつぶせになり、その体とほぼ直角になって制する技。
(5)縦四方固め 相手をあおむけにして、馬のりになり、うつぶせになって制する技。
〔2〕絞め技
(1)十字絞め 相手の前方から両手を十字にして握り、その首を絞める技。両手の親指を外にして相手の両襟を握り絞めると逆十字絞め、親指をともに内にすれば並み十字絞め、一方の手の親指を外にすれば片十字絞めになる。
(2)送り襟絞め 相手の後方に位置し、片手を肩の上から、他方の手をわき下から差し入れて両襟をとり、引き絞るようにして絞める技。
(3)裸絞め 相手の後方から前腕の親指側を相手の咽喉部(いんこうぶ)前面に当て、肩の上で両手をあわせて組み、引き付けて絞める技。
〔3〕関節技
(1)腕がらみ 相手の手首をとってその腕を曲げ、両手を組んで、相手の肘(ひじ)関節を梃子(てこ)の理によりねじるようにして極(き)める技。肩のほうに曲げるのと、帯のほうに曲げる仕方がある。
(2)腕ひしぎ十字固め 単に十字固めともいう。相手の体側に位置し、その上腕を両ももで挟み制しながら、手首をとった両手を引いて肘関節を伸ばして極める技。
(3)腕ひしぎ腕固め 単に腕固めともいう。相手の体側で、その手首を肩に当て、両手で肘関節の上をすり上げぎみに押さえ、肘関節を極める技。[竹内善徳・村田直樹]
当身技
相手の生理的弱点(急所)を手、足、頭などで突く、打つ、蹴(け)るなどして制する技である。突き技、打ち技、蹴り技の三つがある。突き技としては、拳(こぶし)当て、指頭当て、肘当てなどがあり、打ち技としては、拳当て、手刀当て、肘当てなどがあり、蹴り技としては、膝(ひざ)当て、踵(かかと)当て、足刀当てなどがある。
 なお、投げ技と固め技は乱取り技といわれ、乱取り(自由練習)や試合に使用されている。当身技は危険なので、乱取りや試合で使用することは禁止されており、もっぱら形(かた)において練習されている。[竹内善徳・村田直樹]

柔道の基本

柔道の技を練習する場合にまずたいせつなことは、基本を身につけることである。技の基本のうちとくに投げ技の基本は、嘉納治五郎の創意工夫によって、姿勢、組み方、移動の仕方、体さばき、崩し、作り、掛け、受身など、合理的・科学的に確立された。柔道は「礼に始まり礼に終わる」といわれるように礼法をたいせつにしている。立礼と座礼があり、正しく行わねばならない。姿勢は自然体を基本とし、自然体には、自然本体、右自然体、左自然体がある。組み方は相手に技を掛けるのに効果的な組み方をよしとする。からだを有効に動かして、移動したり、体をさばいたりして相手を不安定な体勢にし(崩し)、自分は技を掛けやすい体勢にし、その体勢でもっとも適切な技を合理的に、速く、力強く一気に掛けて(掛け)、相手を投げるようにする。投げられる者に対しても、自分の身体を安全に取り扱う方法である受身が考えられ、これを十分に練習して身につける必要がある。なお、受身には、倒れる方向によって後ろ受身、横受身、前受身、前回り受身などがある。[竹内善徳・村田直樹]

練習法

柔道の練習法には古くから形(かた)と乱取(らんど)りの二つの形式があり、この二つの練習法を組み合わせて練習することにより、技術向上と体育的効果を得ることができる。
 形とは、技の攻撃・防御に一定の約束ごとをもって行う練習法で、講道館で制定された形によって柔道の技術全般を学ぶことができる。なお講道館の形には、投げの形と固めの形のような乱取りの形があって、技の代表的なもの15本からなり、練習や試合の攻防の理を学ぶことができる。真剣勝負の形として極(きめ)の形(20本)、柔の理に基づく合理的な力の用法を緩やかな動作で練習する柔(じゅう)の形(15本)、現代的な護身の法である講道館護身術、女子のためにつくられた女子護身法、柔道の原理を自然現象を借りて表現した五(いつ)つの形、起倒流の鎧(よろい)組み討ちの形を取り入れた古式(こしき)の形などがある。
 乱取りは、お互いが自由に動きながら全力を傾けて攻防しあう練習形式で、今日の練習法の中心となっているものである。
 技術向上を目ざす練習法として、まず基本を正しく身につける基本練習、技をより強く、速く、正確にするかかり練習(打込み)、相手の動きに対応してタイミングのよい技を身につけるための約束練習、総合的に技を実戦化する自由練習(乱取り)などがあり、どの修行段階にある柔道修行者も、適時これらの練習を繰り返し積み重ねて、技を練ることを心がける。多くの技を練習し、そこから得意技を身につけ、寝ても立ってもできる本格的な柔道を目ざして練習する。[竹内善徳・村田直樹]

試合

柔道の試合には、個人試合と団体試合があり、その方法としてトーナメント法、リーグ戦法、勝ち抜き法、点取り法などがある。また、無差別試合、体重別試合、段位別試合、年齢別試合などが行われている。体重別試合は一般に次の階級に分かれている。男子は、60キログラム級、66キログラム級、73キログラム級、81キログラム級、90キログラム級、100キログラム級、100キログラム超級の7階級である。
 女子は、48キログラム級、52キログラム級、57キログラム級、63キログラム級、70キログラム級、78キログラム級、78キログラム超級の7階級である。体重無差別は、オリンピックおよびジュニア世界大会(20歳未満)、世界カデ柔道選手権大会(15~16歳)では行われない。[竹内善徳・村田直樹]
ルール
国内では、二つの審判規定がある。講道館柔道試合審判規定と国際柔道連盟試合審判規定である。国際試合では後者が用いられる。その内容にはいくつかの違いがみられる。
 講道館柔道試合審判規定での試合は、柔道衣を着用した2人の試合者が、試合場の中央で3.64メートル離れて立ち、立礼を交わしたのち、主審の「始め」の宣告で試合を開始し、「それまで」の宣告で試合を終え、立礼を交わして試合場から立ち去る。試合は立ち技から開始され、試合場内で行われなければならない。勝負は投げ技と固め技によって決められ、どちらかが「一本」をとれば試合は終了する。試合時間内に勝負が決まらなかった場合は、判定により優勢勝ちか引き分けとなる。なお試合時間は3分から20分の間で、その試合の前にあらかじめ定められる。オリンピックおよび世界選手権では男女とも5分間である。
〔1〕「一本」 投げ技では、技を掛けるか、相手の技を外して相当の勢い、あるいは弾みをもってだいたいあおむけに倒したとき、固め技では、「まいった」と発声するか、二度以上床か相手の体を打って合図をしたとき、抑え込み技では30秒間(国際柔道連盟規定では25秒間)抑え込んだとき、絞め技と関節技では十分効果が現れたときをいう。
〔2〕「技あり」 投げ技でいま少しで一本となるような技があったり、抑え込み技で25秒(国際柔道連盟規定では20秒)以上経過したときは、「技あり」となり、技ありを二度とったときは「技あり、合わせて一本」となって勝負が決する。
〔3〕「有効」 投げ技でいま少しで技ありになるような技であったり、抑え込み技で20秒(国際柔道連盟規定では15秒)以上経過した場合は「有効」となる。ただし、有効をいくつとっても技あり一つには及ばない。
〔4〕反則 禁止事項を犯そうとしたり、犯した場合には、その重さによって反則となる。反則には、(1)反則負け、(2)警告(技ありと同等)、(3)注意(有効と同等)、(4)指導、(5)教育的指導(講道館規定のみ)がある。
 審判は、原則として主審1名、副審2名で行い、主審は試合場内にあって試合の進行と勝負の判定をつかさどり、副審は試合場外の対角線上にいて主審を補佐する。
 国際柔道連盟試合審判規定の大きな違いは次のような点である。
〔1〕国際柔道連盟主催の大会は青色と白色の柔道衣を着用する。
〔2〕反則を与える基準がいくつかの禁止事項で違う。国際柔道連盟規定では、反則負けと指導のみである。
〔3〕どちらか一方の試合者の片足でも場内にある時は、もう片方の試合者が完全に場外に出ていても場内とみなす。
〔4〕抑え込み技の時間が違う(短い)。[竹内善徳・村田直樹]

段級

柔道の段級制度は、1883年(明治16)ごろに始められ、富田常次郎、西郷四郎が最初の初段に列せられた。段位は初段から十段、これまで具体例はないものの制度としてはさらにその上へと続き、級は五級から一級まである。この段級は、ただ強いだけで与えられるものではなく、修行者の品性、技術および形の進歩の程度、柔道の知識、柔道原理の生活への応用状況、柔道への功績などを勘案して与えられる。なお、段級を帯の色で表している。級では、五級、四級は白色、三級、二級、一級は茶褐色である。有段者は、初段から五段までは黒色、六段から八段までは紅白のだんだら、九段以上は紅色の帯を締めることが許されている。ただし、六段以上でも黒色の帯を締めても差し支えない。[竹内善徳・村田直樹]

国際情勢

すでに明治期に、日本人柔道家による海外普及活動がフランスで始まっている。1964年(昭和39)のオリンピック東京大会でオランダのアントン・ヘーシンクAnthonius J. Geesink(1934―2010)が金メダルを獲得したのを機に、一気に国際化が進んだ。とくにヨーロッパ、ロシア、ブラジルでの人気が高く、強豪選手を輩出している。国際柔道連盟には200の国と地域が加盟している(2012)。[村田直樹]
『老松信一著『柔道百年』(1976・時事通信社) ▽竹内善徳著『柔道』(1979・不昧堂出版) ▽猪熊功著『柔道』(1979・講談社) ▽嘉納治五郎著『講道館柔道』(1994・講談社インターナショナル) ▽日本体育大学編『イラスト柔道』(1999・五月書房)』

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