江戸後期の石門心学者(せきもんしんがくしゃ)柴田(しばた)鳩翁の道話を、養子遊翁(ゆうおう)が筆録したもので、心学道話の代表的著作。正篇(へん)(1835=天保6刊)、続篇(1836刊)、続々篇(1838刊)の3篇9巻よりなり、のちに『鳩翁道話拾遺(しゅうい)』2篇(1929=昭和4)が公刊された。同書は冒頭に「聖人の道もチンプンカンでは、女中や子ども衆の耳に通ぜぬ。心学道話は、識者のためにまふけました事ではござりませぬ。ただ家業におはれて、隙(ひま)のない御百姓や町人衆へ、聖人の道ある事をおしらせ申したいと、先師の志でござりまする」というように、平易な語り口で古典や身近な実例を材料に心学の教えを説く。また「京の蛙(かわず)と大坂の蛙」や「サザエの話」などの軽妙なたとえや皮肉、ユーモアを交えながら、家庭や恋愛・宗教などの諸問題を取り上げている。同書は世人に歓迎されて多くの版を重ね、庶民教化に大きな影響を与えた。
[今井 淳]
『柴田実編『日本思想大系42 石門心学』(1971・岩波書店)』▽『石川謙校訂『鳩翁道話』(岩波文庫)』
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