切能(読み)キリノウ

デジタル大辞泉 「切能」の意味・読み・例文・類語

きり‐のう【切能/尾能】

能で、1日の番組最後に演じる能。普通は、五番立てで正式に演じる場合の五番目の曲種の能(五番目物)をいう。り。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「切能」の意味・わかりやすい解説

切能 (きりのう)

能の種別の名。一日の番組の最後に置かれる能の意で,五番目物の別称。すべてに太鼓が加わり,速いテンポで演じる。《是界(ぜがい)》《第六天》《舎利》《大江山》《土蜘蛛(つちぐも)》《紅葉狩》など,害意を持つ鬼や天狗が相手役と闘争して敗れ去るというストーリーの諸曲や,地獄の鬼・竜神の類が登場する《野守(のもり)》《鍾馗(しようき)》《鵜飼》《春日竜神》,畜類が主人公の夢幻能《鵺(ぬえ)》《殺生石》などがあり,強烈なエネルギーを持った超現実的存在が活躍するのが特色。このほか,貴人,女菩薩が早舞(はやまい)を舞う《融(とおる)》《当麻(たえま)》,猛将物の《項羽》《熊坂》もあり,祝言的内容の《石橋(しやつきよう)》《猩々》は,本来初番目物に属する《金札》《岩船》と同様に半能(前場のほとんどを省略する形)形式で番組の末尾に上演することがある。
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