日本大百科全書(ニッポニカ) 「勝連城」の意味・わかりやすい解説
勝連城
かつれんじょう
沖縄県うるま市勝連南風原(かつれんはえばる)にある城跡。方言で「カッチングスク」という。13世紀ごろに創建され、代々勝連按司(あんじ)の居城として繁栄したが、1458年(長禄2)に国王軍により城主阿麻和利(あまわり)とともに滅んだ。その繁栄ぶりはオモロにもうたわれ、発掘調査の成果もその栄華の一端を裏づけている。注目すべき点は、この城の立地する丘はもともと先史時代末期(グスク時代)の集落のあった場所であり、その一角に共同体の祭祀(さいし)上の結節点にあたる聖所が存在したことである。集落移動後、その跡に聖所を取り巻く形で石垣を積み城塞(じょうさい)化したものが勝連城であった。グスク問題に一石を投ずる遺構として国史跡に指定され、城壁の復原工事を含む整備が行われている。2000年(平成12)琉球(りゅうきゅう)地方の独特な文化遺産を対象に「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」が世界遺産の文化遺産に登録されており、登録遺産群9か所のうちの一つに含まれている。(世界文化遺産)。
[高良倉吉]
『高良倉吉著『琉球の時代』(1980・筑摩書房)』