勢理客村(読み)じつちやくむら

日本歴史地名大系 「勢理客村」の解説

勢理客村
じつちやくむら

[現在地名]伊是名村勢理客せりきやく

伊是名島西部に位置する。伊平屋いひや島を構成する八行政村の一つ。方音ではジッチャク。西の屋之下やのした島は当村属島。北部に島最高峰のうふ(現大野山、一一九・九メートル)がある。「琉球国由来記」に記される祭祀は公儀祈願所の「タノカミ嶽御イベ」「マウノヲヒヤ火神」、島中拝所の「大山御イベ」など。絵図郷村帳に「せつかく村」とみえる。琉球国高究帳では「せづかく村」として高頭一七三石余のうち田一四五石余・畠二八石余。乾隆五七年(一七九二)当村の新城筑登之が私財を投じて長さ六間・横五間・深さ七尺の溜池(モホギーと推定される)を開発した。同人はまた造船の術にすぐれ、村の地船建造の際の経費節減にも貢献したが、それらの功により賞賜されている(「球陽」尚穆王四一年四月六日条)。道光二八年(一八四八)防風・防潮のために比那武久波ひなんぐーふあ原・安慶地あげち原の海岸に諸樹ならびにアダンを植栽したという(同書尚泰王元年一〇月三日条)


勢理客村
じつちやくむら

[現在地名]浦添勢理客じつちやく・勢理客一―四丁目・仲西なかにし三丁目

内間うちま村の西、真和志まーじ間切との境を流れる安謝あじや川下流右岸に位置する。北は仲西なかにし村・小湾くわん村、西は海に臨む。ジッチャクとよび、一八八〇年(明治一三年)の県統計概表にもジツチヤクと振り仮名がある。那覇中頭・国頭方面を結ぶ街道(通称国頭街道)が縦貫する。仲西村境の小湾こわん川に勢理客じつちやく橋が架かる。絵図郷村帳に「せつかく村」とあり、琉球国高究帳では「ぜつかく村」として高頭九二石余、うち田四三石余・畠四九石余。「琉球国由来記」には勢理客・勢里客両様の表記がみられ、拝所にコバ森・勢理客殿があり、仲西ノロの管轄であった。


勢理客村
じつちやくむら

[現在地名]今帰仁村勢理客せりきやく渡喜仁ときじん

天底あみすく村の北東に位置し、北東は上運天ういうんていん村。集落は東から西にかけて低くなる緩やかな傾斜地途中の台地上にあり、背後の斜面に御嶽がある。方音ではジッチャク、あるいはジッチャフと発音する。琉球国高究帳には「ぜつかく村」とあり、高頭一七六石余(うち田九九石余・畠七六石余)。「球陽」尚敬王一八年(一七三〇)条によると、「瀬理客邑地頭代諸喜田・夫地頭湧川等」は与志古土よしこと(吉事川)から水路を開削し、仲宗根なはじゆに真喜屋原まきやはるの田を灌漑した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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