伊是名島(読み)いぜなじま

日本歴史地名大系 「伊是名島」の解説

伊是名島
いぜなじま

本部もとぶ半島の北方約二二キロ、伊平屋いへや島の南方約四・五キロに位置する。島の北端(打鼻)はおよそ北緯二六度五七分一五秒・東経一二七度五六分二〇秒。海岸線は比較的平滑で単調。島はほぼ五角形で東西約四キロ・南北約五キロ、周囲約一七キロ、面積一四・五平方キロ。最高点(大野山)は標高一一九・九メートル。ほかに主要な山・丘として、中央部に位置する天城あまぎ(一〇二メートル)、南東部に位置するチヂン山(一一九・六メートル)などがあり、伊是名島の山地・丘陵は「岳」ではなく「山」地名であり、めずらしい。山・丘を構成する地質は北隣の伊平屋島の場合と同じく、中生代古生代のチャートであるが、伊平屋島に比較して標高が非常に低い。島の大部分を構成する地質は中生代の砂岩・頁岩互層、砂岩・粘板岩互層。山地・丘陵の間には、沖積層が比較的広く分布し、水田や畑地として利用され、集落も沖積層の上や周辺に立地している。海岸部には砂丘が発達している。島の周囲にはサンゴ礁(裾礁)がよく発達し、平均幅は約五〇〇メートル。県指定天然記念物として伊是名グスクのイワヒバ群落とあぎギタラにあるアカラ御嶽の植物群落(ウバメガシ、リュウキュウマツなど)がある。島には目立った河川はないが、小河川の上流域や山地・丘陵間の低地部には大小一五ヵ所ほどの池がみられる。植生はほとんどが人為的な改変によって生じた二次植生で占められ、丘陵部がリュウキュウマツ群落、海岸部の大部分がアダン群落やモクマオウ林である。伊是名グスク周辺にモクタチバナ‐ヤブニッケイ群落やトベラ‐ウバメガシ群落がみられる。隣島の伊平屋島の中央部に分布するイタジイ群落は、伊是名島にはほとんどみられない。気温は一月(最寒月)の平均気温が摂氏一五・六度、七月(最暖月)が二八・一度、年平均気温は二一・九度である。那覇に比べて一月は〇・四度、七月は〇・二度低い。年間降水量は一七九二ミリで、那覇より二五〇ミリほど少ない。

〔先史時代より古琉球・近世へ〕

貝塚時代前期からグスク時代の遺跡が三九ヵ所確認されている。前期の遺跡には伊是名貝塚・仲田上なかだうえ遺跡・伊是名ウフジカ遺跡・内花うちはな貝塚などがある。伊是名貝塚や仲田上遺跡では石組住居跡が発掘されている。この島の前期の遺跡からは九州産とみられる黒曜石の石鏃や破片が多数出土しており、古くから九州との交通の要衝地であったことを示している。貝塚時代後期のおもな遺跡にはアギギタラ貝塚・港原みなとばる貝塚・伊是名貝塚B地点・勢理客じつちやく貝塚・屋佐やさ貝塚・真手茶まてちや貝塚などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊是名島」の意味・わかりやすい解説

伊是名島
いぜなじま

沖縄県沖縄本島本部半島(もとぶはんとう)の北方約23キロメートルに浮かぶ島。伊平屋伊是名諸島(いへやいぜなしょとう)の一つ。伊是名村の主島でもある。面積14.14平方キロメートル。最高点はチジン山の120メートル。丘陵状の古生層の低山からなるほかは、海岸低地からなり、集落はここに立地する。名所・旧跡も多く、伊是名ビーチなど自然景観にも恵まれ観光地となっている。サトウキビの栽培、モズク養殖が盛んである。沖縄本島の運天(うんてん)港(今帰仁(なきじん)村)から定期船がある。1998年(平成10)には伊是名飛行場が完成した。人口1685(2009)。

[目崎茂和]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伊是名島」の意味・わかりやすい解説

伊是名島
いぜなじま

沖縄県沖縄島北西方の伊平屋諸島にある島。伊是名村に属する。那覇市から約 90km,周囲約 16kmでほぼ円形。中央部を北から最高点の大野山(120m),天城,アーガ山,チジン山と古生層からなる山地が続いて島を二分している。南東部は山地が海岸近くまで続く傾斜地であるが,低平な地形が多く,耕地化されている。かつての付属島の屋ノ下島は埋め立てによって地続きになった。面積 14.14km2。人口 1762(2005)。

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「伊是名島」の解説

いぜなじま【伊是名島】

沖縄の泡盛。酒名は、蔵がある島、沖縄本島北西の東シナ海に浮かぶ伊是名島にちなみ命名。長期熟成古酒。洗米、仕込み、割り水はそれぞれ水質の違う水を使い分け使用。原料はタイ米、黒麹。アルコール度数30%。蔵元の「伊是名酒造所」は昭和24年(1949)創業。所在地は島尻郡伊是名村字伊是名。

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デジタル大辞泉プラス 「伊是名島」の解説

伊是名島〔島名〕

沖縄県島尻郡伊是名(いぜな)村の主島。沖縄本島北端の辺土(へど)岬から西方約30キロメートルに位置する。面積約14.16平方キロメートル。琉球王国第2尚氏の始祖、尚円王の出生地で、王や王朝ゆかりの史跡が多い。集落の家々を囲むサンゴの石垣が見事。

伊是名島〔泡盛〕

沖縄県、合資会社伊是名(いぜな)酒造所が製造する泡盛。

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世界大百科事典(旧版)内の伊是名島の言及

【伊平屋伊是名諸島】より

…沖縄県,沖縄島(本島)の北西に位置し,伊平屋島,伊是名島を主体とし,野甫島,具志川島など7個の島よりなる諸島。俗に〈伊平屋の七離れ〉と称し,また伊是名島を前地,伊平屋島を後地(くしち)とも呼んだ。…

※「伊是名島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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