勧解(読み)カンカイ

デジタル大辞泉 「勧解」の意味・読み・例文・類語

かん‐かい〔クワン‐〕【勧解】

裁判官が、原告被告との間に立って民事上の争い和解させる制度。明治8年(1875)創設、同23年廃止。現在の調停にあたる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「勧解」の意味・読み・例文・類語

かん‐かい クヮン‥【勧解】

〘名〙
① 相争っている両者の間に立って調停すること。
江戸繁昌記(1832‐36)三「都俗、勧解(〈注〉トリサヘル)する者を呼て之を中人と謂ふ」
② 調停や和議などに先だち、裁判所またはその他の者が当事者の間にはいり、民事上の争いについて調停を試みたり、和解を勧めたりすること。
東京曙新聞‐明治九年(1876)五月一日「勧解裁判は未だ御開きにならず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「勧解」の意味・わかりやすい解説

勧解
かんかい

明治初期における裁判上の調停制度。江戸時代には和解のことを内済といい,裁判所はこれを当事者に勧奨したが,明治政府もこの伝統を受け継ぎ,1875年に勧解の制度を設け,1881年には強制的に和解前置主義をとった。 1884年にフランスの制度にならい勧解略則を設けて治安裁判所には勧解掛をおき,もっぱら訴訟事件の勧解をさせていたが,1890年公布の民事訴訟法では訴えの提起に和解前置主義をとっていない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

普及版 字通 「勧解」の読み・字形・画数・意味

【勧解】かんかい

仲裁する。

字通「勧」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の勧解の言及

【裁判】より

…民事裁判については,最初の(旧)民事訴訟法典が公布されたのが1890年であり(施行は1891年),これはフランス法に範をとったものであった。それ以前は江戸時代以来の慣習法とそれを改訂する個別の法令によって規制されていたわけであるが,東京裁判所支庁管轄区分並取扱仮規則等に基づき,裁判所は両当事者に対して和解を勧めることが多かった(〈勧解〉といった)。(旧)民事訴訟法は1926年にその第1~5編が全面的に改正された(1929施行)。…

※「勧解」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android