朝鮮の両班(ヤンバン)と常民の中間に位置する身分。科挙の雑科に合格し,雑職という官職についている人およびその家系の人をさす。首都の中央部に多く居住していたので,そこから彼らを中人とよぶようになった。中央官庁で通訳(中国語,モンゴル語,女真語,日本語など),陰陽学(天文地理),医学,法律,算学,音楽,絵画などの技術系官職に従事し,その職は世襲された。中人は一般には従六品までしか昇進できず,常民よりは上だが,両班からは差別された。庶孽(しよげつ)(両班の庶子)も中人身分に属した。しかし中人は実務に明るく,経済的実力をもつものも多かった。開化思想を広めた劉大致,呉慶錫も中人であった。なお,広くは実務担当の下級官吏(胥吏(しより)・軍校)も中人とよばれた。
執筆者:矢沢 康祐
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…中世・近世において紛争解決のために行われた仲裁・調停。
[中世]
日本の中世社会の紛争解決手段として,一般的に行われたのは,紛争当事者が,中人(仲人)(ちゆうにん),扱衆,異見衆,立入衆,批判衆などと呼ばれた第三者(単数または複数)に解決をゆだね,その調停によって和解する噯(中人制)であった。この噯は,庶民,領主,大名など階層をとわず行われ,またその調停対象も,貸借・売買・土地あらそいなどの民事紛争,刃傷・殺人などの刑事事件,さらには合戦にまで適用されるものとして存在した。…
…和解の条件もしくは結果として,自発的な無償贈与が含まれていたために,この言葉が用いられるようになったとされている。公権力の行う裁判と無関係に行われる和与は,中人(ちゆうにん)などとよばれた第三者の調停によって成立するものが多く,この場合和与の効力は中人を含む地域社会の強制力によって保証されていたと考えられる。なお,いったん裁判所に提訴された紛争で,判決以前の段階で和与が成立するものも多かった。…
※「中人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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