包括通商法(読み)ほうかつつうしょうほう

知恵蔵の解説

包括通商法

1988年8月に成立した米国の88年包括通商・競争力法の略称。国内産業の保護、外国の不公正貿易慣行への対応の強化などのほか、米国経済の競争力の回復に資するため、いろいろな分野での包括的な対応措置を設けているのが特徴。米国の通商法の流れの中では保護貿易的色彩が強められると同時に、通商交渉の大統領権限を制限し議会権限を強化する傾向が強まってきているが、包括通商法もこの延長線上に誕生した。特に重要な項目としては、外国市場へのアクセス改善を目的とした74年の通商法301条の改正やスーパー301条(Super 301)の新設、輸入からの国内産業保護を目的とするアンチ・ダンピング関税、相殺関税の改正や通商法201条の改正、知的財産権保護を目的とした関税法337条の改正、対米投資規制や東芝制裁条項、などがある。通常の301条が個々の産業の障壁を対象としているのに対し、スーパー301条は相手国の組織的な貿易慣行の除去を目的として、相手国そのものを対象としている点に特徴があった。当初は2年間だけの時限立法であったが、その後、延長・失効・復活をたどり、2002年に失効。米国の通商代表部(USTR)は、「外国の貿易障壁に関する年次報告」を作成、不公正な貿易障壁・慣行を設けている国及びその具体的項目を特定している。

(永田雅啓 埼玉大学教授 / 松尾寛 (株)三井物産戦略研究所副所長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

百科事典マイペディアの解説

包括通商法【ほうかつつうしょうほう】

米国の通商政策の根幹を成す法律。1988年8月に既存の通商法から改正・制定されたことから,〈1988年新通商法〉とも。特徴は,輸入を十分にせず輸出に偏り不公正な貿易慣行を続ける国々に対して報復措置を取るスーパー301条や,知的所有権侵害を放置した国々に対して制裁措置を取るスペシャル301条が盛り込まれたことである。これは,当時貿易問題を解決するのに主流と見られていた相互主義を前面に押し出したものである。1989年には日本も不公正貿易国とされた。しかし1995年にWTOが発足してからは,一方的措置の発動を禁じるWTOルールに抵触する恐れがあることから,米国の通商政策の〈奥の手〉ではあるが,事実上凍結状態となっている。
→関連項目エクソン・フリオ条項

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