翻訳|reciprocity
自国が他国に対して有する権利・義務や利益・負担を、他国が自国に対して有するそれらのものと均衡がとれるようにすべきであるという考え方。国際法上、条約を作成するうえでの基本的な指針の一つとなる。また、条約によらない場合でも、国内法において、外国人、外国法人、外国のものなどの扱いを定める場合に、その外国が自国民、自国法人、自国のものなどに対して同様の扱いをすることを条件として、権利や利益を与えることもある。
日本では、民法第3条第2項は、法令または条約の規定により禁止される場合を除き、外国人も日本人と同じ私権を享有することを定めている。日本法上、相互主義に基づかないで私権の制限をしている例(船舶法1条、航空法4条、鉱業法17・87条等)もあるが、相互主義に基づいて私権を制約している例としては次のようなものがある。外国人土地法第1条は、日本人・日本法人に対して土地に対する権利の享有を禁止または制限している国の国民・法人に対しては、日本にある土地について同一または類似の禁止や制限をすることができる旨規定している。また、国家賠償法第6条は、外国人が被害者であるときは相互の保証があるときに限り同法の適用があることを定めている。そのほか特許法第25条も、日本に住所・居所を有しない外国人や、日本に営業所を有しない外国法人は、その属する国が日本国民に対して同一の条件で特許権その他特許に関する権利の享有を認めていないときには、それらの権利の享有を認めない旨規定している(意匠法68条3項、商標法77条3項、実用新案法2条の5第3項等も同じ)。
外国判決の承認および執行の条件としても、民事訴訟法第118条4号および民事執行法第24条5項は、相互の保証を条件としている。これについて、最高裁判所の判例によれば、日本と重要な点で異ならない条件の下に日本の判決の効力を認めている場合には、相互の保証があるものと扱うとされている(最高裁判所昭和58年6月7日判決、民集37巻5号611頁)。
[道垣内正人 2022年4月19日]
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…第3期は,排外的差別扱いの時代で,人間としては対等と認めたが,権利や保護を限定的にしか与えず,多くの義務を課した。第4期は,相互主義の時代で,外国人を自国民と平等な地位におこうとはするが,相手国が自国民に権利と保護を与えることを条件とした。第5期は平等主義である。…
※「相互主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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