北朝鮮核開発疑惑(読み)きたちょうせんかくかいはつぎわく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北朝鮮核開発疑惑」の意味・わかりやすい解説

北朝鮮核開発疑惑
きたちょうせんかくかいはつぎわく

1985年 12月,北朝鮮核兵器不拡散条約 NPT調印と引換えに,ソ連から研究用小型原子炉を2基導入したが,調印後1年半以内に国際原子力機関 IAEAと全面的な査察協定を結ぶという NPTの義務を履行しなかったため,核兵器開発に着手しているのではないかとの疑惑が国際的に高まった。それに対し北朝鮮は,92年1月,IAEAとの保障措置 (査察) 協定に調印,同協定に基づいて核関連施設のリストを IAEAに提出した。同年5月に IAEAの第1回査察を皮切りに,寧辺一帯の査察が数回行われたが,プルトニウム抽出や核貯蔵施設とみられる2施設への特別査察拒否など,核兵器開発疑惑がさらに高まった。そうしたなか 93年3月,北朝鮮は NPT脱退を宣言,さらに,同年5月には戦域ミサイル「労働1号」の試射に成功したことから,北の核開発疑惑は核ミサイル開発疑惑へと拡大していった。その後同年6月と7月に行われた米朝高官会談で北朝鮮側は態度を軟化させ,94年3月には核査察を受入れた。しかし,その査察で燃料棒の抜取りが判明,その処置をめぐり事態一時膠着したが,同年8月の米朝高官会談で (1) 黒鉛減速炉軽水炉に転換する,(2) 北朝鮮は NPTにとどまる,(3) 米朝両国は双方首都に外交代表部を設置する,などで基本的に合意し,北朝鮮の核疑惑は一応の解決をみた。

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