医療圏(読み)イリョウケン

デジタル大辞泉 「医療圏」の意味・読み・例文・類語

いりょう‐けん〔イレウ‐〕【医療圏】

地域実情に応じた医療を提供する体制確保するために、都道府県が設定する地域単位。日常生活に密着した保健医療を提供する一次医療圏(基本的に市町村単位)、健康増進・疾病予防から入院治療まで一般的な保健医療を提供する二次医療圏複数の市町村)、先進的な技術を必要とする特殊な医療に対応する三次医療圏(基本的に都道府県単位)がある。→医療計画

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共同通信ニュース用語解説 「医療圏」の解説

医療圏

地域住民への医療提供体制の整備を図るため、都道府県が策定する医療計画で定める地域区分。1次医療圏は市町村単位で、2次医療圏は地理的条件や交通事情を考慮し、複数の市町村をまとめて指定することが多い。3次医療圏は都府県単位で指定されているが、北海道は管轄地域が広大なため、六つに分かれている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「医療圏」の意味・わかりやすい解説

医療圏
いりょうけん

病院等の病床の整備を図るにあたり、都道府県が医療計画のなかで設定する地域的単位のこと。二次医療圏、三次医療圏については医療法第30条の4第2項12および13に規定されている。

[前田幸宏 2019年11月20日]

一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏の概要

一次医療圏とは、一次医療(初期医療、プライマリ・ケア、身近な医療)を提供する区域で、おもに診療所や病院の外来医療が中心である。医療法に規定はないが、基本的に市町村を単位として設定されている。

 二次医療圏とは、医療計画において、病院等の病床の整備を図るべき地域的単位となる区域である。一般的な入院医療が医療提供の中心である。地理的条件等の自然的条件および日常生活の需要の充足状況、交通事情等の社会的条件を考慮して、一体の区域、および病院等における入院医療を提供する体制の確保を図る地域的な単位として、医療法施行規則第30条の29の1に規定されている。複数の市区町村を単位とし、おおむね人口20万人前後の区域である。全国に344の二次医療圏が設定されている(2016年4月時点)。

 三次医療圏とは、二次医療圏をあわせた区域であって、主として特殊な医療を提供する病院の病床の整備を図るべき区域として、医療法施行規則第30条の29の2に規定されている。特殊な医療とは、特殊な診断または治療を必要とする医療であって、(1)先進的な技術を必要とするもの、(2)特殊な医療機器の使用を必要とするもの、(3)発生頻度が低い疾病に関するもの、(4)救急医療であってとくに専門性の高いもの、のいずれかに該当するものである。医療法施行規則第30条の28の7に規定されている。原則として都道府県の区域を単位として設定されており(北海道は広域であるため6医療圏)、全国に52(2016)の三次医療圏が設定されている。

[前田幸宏 2019年11月20日]

地域医療構想と医療圏について

医療介護総合確保推進法(平成26年法律第83号)の成立を受け、地域包括ケアシステムの構築を通じ、地域における医療および介護の総合的な確保を推進するため、地域医療構想(ビジョン)が医療計画に導入された。地域包括ケアシステムとは、地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、予防、住まいおよび自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制のことである。地域医療構想とは、地域の医療供給体制の将来のあるべき姿を示すものであり、地域における病床の機能の分化および連携を推進するための基準として、病床の機能区分(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)ごとの病床数の必要量推計とその達成に向けた方法等に関するものである。医療法第30条の4第2項7に規定されている。医療計画の必須記載項目の一つとして地域医療構想に関する事項があげられており、地域医療構想区域は、二次医療圏単位での策定が適当であると医療計画作成指針に示されている。

[前田幸宏 2019年11月20日]

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