医療機能情報提供制度(読み)いりょうきのうじょうほうていきょうせいど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「医療機能情報提供制度」の意味・わかりやすい解説

医療機能情報提供制度
いりょうきのうじょうほうていきょうせいど

病院等に対し、自施設の医療機能に関する情報を都道府県知事に報告することを義務づけるとともに、報告を受けた都道府県知事は、その情報を住民患者に対し、インターネット等を通じてわかりやすい形で提供するという制度。医療情報ネットともよばれる。住民・患者による病院等の適切な選択を支援することを目的としている。第5次医療法改正(2006年6月公布)により導入された。医療法第6条の3に規定されている。

 本制度が始まる前は、医療機関に関する情報の入手手段は、個々の医療機関の広告、医療機関のサイト(ホームページ)、院内掲示、雑誌の記事等のみであった。また、その内容も医療機関ごとにさまざまであり、客観性、信頼性、比較の容易性、わかりやすさ等の観点も含め、医療に関する情報を十分に得ることはむずかしい状況であった。

[前田幸宏 2019年11月20日]

制度の概要

収集・提供されているおもな医療機能情報は下記の事項である。

(1)管理・運営・サービス・アメニティに関する事項(診療科目、診療日、診療時間等、病院へのアクセス、費用負担、外国語対応等)
(2)提供サービスや医療連携体制に関する事項(専門性に関する資格等、対応可能な疾患・治療の内容、地域医療連携体制等)
(3)医療の実績、結果に関する事項(医療安全対策、院内感染対策、患者数、平均在院日数、患者満足度調査等)
 本制度では、医療機関は、上記の情報を都道府県へ報告するとともに、自院においてインターネット等で閲覧できるようにしなければならないとされている。一方、都道府県は、医療機関から報告された情報を集約し、都道府県のサイト(ホームページ)でわかりやすく公表しなければならない。検索機能の充実、医療機関のホームページとの適切なリンク等が図られており、医療に関する広告規制を含めて継続的に改良が検討されている。

[前田幸宏 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例