スマートフォンやパソコンの画面などを通じて、遠隔で医師の診察を受ける仕組み。医師と直接対面しない診療は、当初は情報通信機器を用いた「遠隔診療」として離島やへき地などで認められ始めた。技術進歩などにより診察の対象範囲が広げられ、オンライン診療として2018年に公的医療保険の適用を開始。それでも初診は離島での緊急時などを除き禁止だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う特例として20年に全国で初診を認めた。22年に初診解禁を恒久措置とした。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
遠隔医療のうち、医師が情報通信機器を通して、患者の診察および診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムで行う行為(厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」平成30年3月。令和1年7月一部改訂)。ここでいう「遠隔医療」とは、「情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為」のことである。
「オンライン診療の指針」は、オンライン診療に関して最低限遵守する事項および推奨される事項等を示しており、安全性・必要性・有効性の観点からオンライン診療を普及推進するために策定されたものである。この指針では、初診および急病急変患者は対面診療が原則とされた。
2020年(令和2)2月以降、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)により医療機関の受診に影響が出ている状況を受け、「電話や情報通信機器を用いた診療」の取扱いについての事務連絡が出された(令和2年2月28日付。3月19日付)。その後の感染拡大の状況を受け、「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月10日付厚生労働省医政局医事課等事務連絡)が出され、感染が収束するまでの間の時限的・特例的な対応として、初診等の対面診療の原則が緩和された。
この事務連絡のなかでは、医師が医学的に可能であると判断した範囲において、初診から電話やオンラインにより診断や処方をすることが可能とされているが、留意点として、下記の事項等があげられている。
(1)診療録、診療情報提供書、地域医療情報連携ネットワーク等により患者の基礎疾患の情報を把握したうえで、診断や処方を行う。
(2)麻薬および向精神薬の処方は不可。
(3)患者の基礎疾患の情報を把握できない場合は処方日数の上限を7日間とし、ハイリスク薬の処方は不可。
(4)オンライン診療により診断や処方を行うことが困難であると判断した場合には、対面での診療を促す、または他の医療機関を紹介する。
2020年度診療報酬改定において、オンライン診療料の要件緩和や対象範囲の拡大等が行われた。また、オンライン診療の普及促進については、内閣府の規制改革推進会議でも検討されており、厚生労働省には「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」が設置されている。
オンライン診療は、患者の受診手段の選択肢を増やし、受診機会を確保するとともに、医師不足や医師偏在など、地域における人的医療資源が不足しているなかで、効率的・効果的な医療提供を行ううえでの有効な手段と考えられる。2020年の新型コロナウイルス感染症対策のなかで時限的・特例的に導入された仕組みについては、原則として3か月ごとに検証するとされているが、検証結果も踏まえ、感染収束後の平時のオンライン診療についても普及促進が期待される。
[前田幸宏 2020年12月11日]
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