千如寺跡(読み)せんによじあと

日本歴史地名大系 「千如寺跡」の解説

千如寺跡
せんによじあと

[現在地名]前原市雷山

らい山にあった真言宗寺院。雷山と号し、本尊千手観音いかずち神社の神宮寺で、怡土いと郡七ヵ寺の筆頭。聖武天皇の勅願により清賀が建立した霊鷲りようじゆ寺に始まり雷音寺とも称したが、のち千如寺と改号。古くは僧坊一〇区を数えたという(続風土記)。正元元年(一二五九)七月二二日の雷山院主職注進状(雷山文書/鎌倉遺文一一)に「雷山」がみえ、別当兼公文中原良高は京都からの質問に、院主職は有智山うちやま(現太宰府市の竈門神社)忍辱房禅恵―禅林房俊盛―安光房永増―観音房丸―禅明房上雲―慈心房幸西―覚舜―能俊―安慶と受継がれ、観音房丸までは寺務を執ることはなかったと答えている。正応三年(一二九〇)雷山千如寺住侶は鎌倉幕府造営を願出て、中国船から没収した銭を下賜されることとなったが(同年四月二五日「関東御教書」大悲王院文書/鎌倉遺文二二、以下中世史料は断りのない限り同文書)、翌年には怡土庄年貢から引渡すよう変更された(同年五月一六日「関東御教書」鎌二三)。永仁六年(一二九八)千如寺は中宮曾祖岐そそき社の正殿・拝殿楼門回廊・若宮殿四所・鐘楼・経蔵・鳥居の造営費用七千五〇〇貫文の下賜を幕府に願出た(同年正月日「曾祖岐社造営用途注文」鎌二六)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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