半能(読み)ハンノウ

デジタル大辞泉 「半能」の意味・読み・例文・類語

はん‐のう【半能】

能の略式演奏形式の一。前後二場ある能の後半だけを主に演じるもの。

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精選版 日本国語大辞典 「半能」の意味・読み・例文・類語

はん‐のう【半能】

  1. 〘 名詞 〙 能の略式演奏の一つ。一番の能の全体を演じないで、前場をほとんど省略し、後ジテの登場する後場だけを演じるもの。「石橋(しゃっきょう)」が代表的。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「半能」の意味・わかりやすい解説

半能
はんのう

能の略式上演方式の一つ。ワキの登場のあと、前シテの部分を全部省略し、後シテが出て後半部分だけを演ずる。『高砂(たかさご)』などの脇能(わきのう)を1日の催しの最後に祝言能として付け加える場合には、かならずこの半能方式となり、演出扮装(ふんそう)は総体的に位が軽くなる。各流の『猩々(しょうじょう)』や、観世流の『岩船(いわふね)』『金札(きんさつ)』はこの半能形式が定着した例である。『石橋(しゃっきょう)』なども、むしろ半能で上演されることが普通になってきている。

増田正造

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「半能」の意味・わかりやすい解説

半能
はんのう

能楽用語。一番の能のうち,前後2段に分れる前半の大部分を省略し,後半だけを演じる形式。ワキの登場,次第,名のり,道行などは常のとおりであるが,ワキが座につくと,すぐに待謡となり,後ジテの登場となる。『石橋 (しゃっきょう) 』は半能の場合が多く,『猩々 (しょうじょう) 』は今日では半能形式に固定した。『金札』『岩船』も観世流では祝言能として半能でしか演じられない。

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世界大百科事典(旧版)内の半能の言及

【切能】より

…《是界(ぜがい)》《第六天》《舎利》《大江山》《土蜘蛛(つちぐも)》《紅葉狩》など,害意を持つ鬼や天狗が相手役と闘争して敗れ去るというストーリーの諸曲や,地獄の鬼・竜神の類が登場する《野守(のもり)》《鍾馗(しようき)》《鵜飼》《春日竜神》,畜類が主人公の夢幻能《鵺(ぬえ)》《殺生石》などがあり,強烈なエネルギーを持った超現実的存在が活躍するのが特色。このほか,貴人,女菩薩が早舞(はやまい)を舞う《融(とおる)》《当麻(たえま)》,猛将物の《項羽》《熊坂》もあり,祝言的内容の《石橋(しやつきよう)》《猩々》は,本来初番目物に属する《金札》《岩船》と同様に半能(前場のほとんどを省略する形)形式で番組の末尾に上演することがある。【小田 幸子】。…

【能】より

…(1)袴能(はかまのう) 装束をつけずに紋服で演ずる。(2)半能(はんのう) 一曲の後場だけを演ずる。(3)番囃子(ばんばやし) 紋服等で座したまま全曲を奏する。…

※「半能」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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