南柯の夢(読み)ナンカノユメ

デジタル大辞泉 「南柯の夢」の意味・読み・例文・類語

南柯なんかゆめ

はかない夢。また、栄華のむなしいことのたとえ。槐夢かいむ槐安の夢。
[補説]昔、中国で、淳于棼じゅんうふんという人が、酔って古いえんじゅの木の下で眠り、夢で大槐安国に行き、王から南柯郡主に任ぜられて20年の間、栄華をきわめたが、夢から覚めてみればありの国での出来事にすぎなかったという、唐代の小説南柯記」の故事から。

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精選版 日本国語大辞典 「南柯の夢」の意味・読み・例文・類語

なんか【南柯】 の=夢(ゆめ)[=一夢(いちむ)・=一睡(いっすい)

  1. ( 唐の淳于棼(じゅんうふん)が酔って邸内の槐(えんじゅ)の下で眠って、大槐安(だいかいあん)国に行って南柯郡の長官に封ぜられ、二〇年を過ごした夢をみる。目がさめて樹下を見ると蟻の穴が二つあり、その一つには大蟻が王としてすみ、他の一つは南に向いた枝に通じていたという、唐の李公佐の「南柯記」の故事から ) 夢のこと。また、はかないことのたとえ。槐夢(かいむ)。槐安の夢。
    1. [初出の実例]「天狗道の苦艱(くげん)かと、見しは南柯(ナンカ)一夢(イチム)にて」(出典読本椿説弓張月(1807‐11)後)

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故事成語を知る辞典 「南柯の夢」の解説

南柯の夢

人生がはかないことのたとえ。また、夢のこと。

[使用例] 母の声におどろいて目がさめればこれなん正しく南柯の夢であった[佐藤紅緑*ああ玉杯に花うけて|1927~28]

[由来] 八~九世紀ころ、唐王朝の時代の中国の文人こうの小説「南柯太守伝」から。じゅんふんという人物が、あるとき、酔って家の庭に生えているえんじゅの木の下で眠り込んでしまいました。ふと気がつくと、だいかいあんこくという国からの使者が立っていて、彼を近くの穴の中へと招き入れます。付いていくとはたして大槐安国という国があり、淳于棼は、その国王から南柯郡(「柯」とは、枝という意味)の長官になるよう、頼まれました。それから二〇年、彼は王の娘と結婚し、長官として栄華を極めたのちに、もとの家へと帰ってきました。……というところで目が覚めて、槐の木の下を見ると、蟻の穴が二つあります。調べてみると、その一つには大きなアリが住んでおり、もう一つは、槐の木の南に向いた枝へと通じていたのでした。

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