単位膜(読み)タンイマク

デジタル大辞泉 「単位膜」の意味・読み・例文・類語

たんい‐まく〔タンヰ‐〕【単位膜】

生体膜基本単位とされる、二つたんぱく質層が間に脂質層を挟む構造の膜。1959年に米国の解剖学者J=D=ロバートソンが提唱したが、現在はこれを修正した流動モザイクモデルが支持されている。

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精選版 日本国語大辞典 「単位膜」の意味・読み・例文・類語

たんい‐まくタンヰ‥【単位膜】

  1. 〘 名詞 〙 生体膜の基本単位とされる二つのたんぱく質層が、間に脂質層を挟む三層構造の膜。一九五九年にアメリカの解剖学者ロバートソンが提唱したが、現在はこれを修正した流動モザイクモデルが支持されている。

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化学辞典 第2版 「単位膜」の解説

単位膜
タンイマク
unit membrane

細胞膜の超薄切片を電子顕微鏡で観察すると,二つの電子密度が高くて暗く見える層と,その中間に幅約2 nm の明るい層があり,全体として3層を形成し,厚さ約8 nm の単位よりなる.暗い層はタンパク質と脂質の極性群に相当し,明るい中間層は非極性群に相当する.この観察上の3層構造を単位膜という.分子レベルでの実体は,脂質二重層である.[別用語参照]リン脂質電子伝達系中の図

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「単位膜」の意味・わかりやすい解説

単位膜
たんいまく
unit membrane

細胞膜モデルの一種。電子顕微鏡で詳細に観察した細胞膜断面が暗-明-暗の3層をなすことから,J.D.ロバートソンが (蛋白質) - (2層に組合わさった脂質) - (蛋白質) という3層構造のモデルを提案し (1960頃) ,細胞表面の細胞膜以外に異なるいろいろの細胞構造でも,この同じ構造が単位となっているとして,単位膜と名づけた。その後,細かくみた細胞膜構造はさらに複雑なものがあって,また膜の種類ごとの差も小さくないことが指摘されて,画一的な見方には手直しが必要となったが,ごくおおまかにみたときには単位膜的構造という見方も成り立つし,また詳しい研究を刺激した功績は大きい。

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世界大百科事典(旧版)内の単位膜の言及

【細胞膜】より

…原形質の物質環境を保つため外部環境に対して物質の出入を調節する境界膜が想定されながら,電子顕微鏡の技法が細胞構造の観察に適用されるまでは細胞膜の存在は確かめられなかった。ロバートソンJ.D.Robertson(1960)は,電子顕微鏡像から細胞膜を含む細胞の膜構造はみな3層からなる単位膜unit membraneであるとする説を唱え,以後単位膜の用語が広く用いられた。電子顕微鏡の観察では生体試料を固定し,また電子線透過のコントラストをつけて写真を撮る必要から,酸化オスミウムOsO4溶液が用いられている。…

※「単位膜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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