電子伝達系(読み)でんしでんたつけい

世界大百科事典 第2版の解説

でんしでんたつけい【電子伝達系 electron transfer system】

生体酸化還元反応における電子の移動が,一定の順序で電子の受け渡し(電子伝達)を行う一連酸化還元酵素を経由して進行するとき,その酵素系を電子伝達系と呼ぶ。真核細胞ミトコンドリアや細菌の細胞膜に存在して呼吸に関与するもの(呼吸鎖)は,その代表例である。葉緑体光合成細菌に存在し,光合成過程に関与するものとともに,これらはいずれもATP合成系,すなわち生物のエネルギー獲得反応系の一部を構成している。

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大辞林 第三版の解説

でんしでんたつけい【電子伝達系】

生体内で種々の脱水素反応によって生じた電子(水素)が、一連の酸化還元酵素によって連鎖的に受け渡される系。この過程において酸化的リン酸化が進行し、 ATP ができる。呼吸鎖や、光合成の反応などに見られる。

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精選版 日本国語大辞典の解説

でんし‐でんたつけい【電子伝達系】

〘名〙 生体酸化還元反応において、電子または水素の移動を行なう系。酸素呼吸に伴う酸化的電子伝達系や、光合成に伴う光電子伝達系など。チトクロムなど。

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世界大百科事典内の電子伝達系の言及

【呼吸】より

…解糖系の諸酵素は細胞質の可溶性画分にあると考えられているが,細胞質中の微細構造に結合していると主張する研究者もある。真核生物では,クエン酸回路,β酸化,および電子伝達系の諸酵素はミトコンドリアに含まれている。赤血球や肝臓および多くの植物の組織では,グルコースの一部は解糖系とは異なるペントースリン酸回路(細胞質の可溶性画分にある)によって完全酸化を受ける(図3)。…

【酸化的リン酸化(酸化的燐酸化)】より

…約10年に及ぶ論争を経てこの独創的な学説は承認され,ミッチェルは78年度のノーベル化学賞を受けた。電子伝達に伴ってHがこのように一定方向に輸送される機構に関しては,電子伝達系の成分の配列に方向性がある(異方性配列)とする考え方と,電子伝達体のいくつかにHポンプ作用があるとする考え方が並立している。Hの偏在のエネルギーは膜に結合した〈共役因子〉,F1およびF0によってATPに変換される。…

【チトクロム】より

…葉緑体中のチトクロムは,光合成反応の過程における電子伝達反応に関与する。またミクロソーム膜には,P450と呼ばれるチトクロムを含む独自の電子伝達系がある。ミクロソームの電子伝達系はATPの合成とは無関係で,水酸化反応(種々の物質に対する解毒機構の一部として作用する)および脂肪酸の不飽和化反応などに関与することが知られている。…

※「電子伝達系」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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