デジタル大辞泉
「原始心性」の意味・読み・例文・類語
げんし‐しんせい【原始心性】
《primitive mentality》文明社会の一般成人とは質の異なった、未開人のもつ精神的特性。因果律を無視したり、心理現象と外界の現象とを混同したりする考え方とされるが、比較文化研究が進んだ今日ではあまり用いられない。
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げんし‐しんせい【原始心性】
〘名〙 (mentalité primitive の
訳語)
未開社会に用いられている独特の
思考、またはその
仕方。
フランスの社会学者
レビ=
ブリュールの
用語。未開人は、因果律に従う論理的思考を使わないで、
情緒を極端に介入させた独特の呪術的、前論理的、
未分化な考え方をしているとする。現在では、このような独自のものはなく、
現代人の思考と本質的に変わりがないとされる。原始心意。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
原始心性
げんししんせい
mentalité primitive
未開心性ともいう。いわゆる「未開社会」の人々の思考,行動が非合理的特性を示すとして類型化された「未開人」特有の思考様式をいう。特にフランスの L.レビ=ブリュールは,「未開社会」の集合表象からこれを理解しようとした。彼は,集合表象が情緒的で神秘的な特質をもつこと,諸表象はいわゆる「融即の法則」により結合しているので矛盾律に無関心なことを見出し,「未開人」の心性は「先論理的」な推論様式をとると考えた。しかし,人間はすべて概念的・合理的認識を行うとともに,情緒的・神話的思考も行う。実際には,2つの心性は,基本的に同一な人類の心性の相補的な2様相と考えられる。のちにレビ=ブリュールもそれを認めた。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報