出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
いかなる命題に対しても、それが成り立つと同時に成り立たないということはないということを述べているのが、矛盾律である。記号を用いて、A∧~A(AそしてAでない)は、Aがいかなる命題であっても成立しない、というように定式化することもできる。あるいは、いかなる命題も真であると同時に偽であることはない、と言い表してもよい。
排中律と同様、矛盾律も古代から知られていた論理学の基本法則であるが、論理学の内部で厳密に取り扱われるようになったのは、近代論理学が成立して以来のことである。すなわち、矛盾律が定理として導かれるように、現代の命題論理は定式化されているのである。しかしながら、否定を構成的に理解すると、矛盾律も、排中律と同様かならずしも成り立つわけではない、ということがわかってきた。
[石本 新]
…充足理由律,理由律とも言われる。矛盾律と並ぶ二大原理としてライプニッツによって提唱されたもので,〈何ものも根拠のないものはない〉という形で表現される。その意味するところは〈一つの事物が存在し,一つの事件が起こり,一つの真理が生ずるためには,十分な根拠がなければならない〉ということであり,したがってこれは論理学的原理であるとともに形而上学的原理でもある。…
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[思考の成立条件・規則としての同一性]
何事かについて考える場合,そもそも,そのこと,ないし,ものが一定のものとして根本に置かれていなければ考えそのものが混乱におちいって成立しなくなる。このような観点から,同一性を真なる思考の成立のために欠くことのできない形式的条件とし,矛盾律とならぶ論理学の根本規則としての同一律によって要請される特性とする見方がアリストテレス以来一貫して存在している。アリストテレスその人においては,彼が矛盾律を時間的条件や広い意味での文脈に関係づけて定義していることからも明らかなように,同一律,矛盾律は,真なる思考のための形式的規則であると同時に,実在の構造そのものにもかかわるものと考えられていた。…
…一般に,命題pに対して〈pかつpでない〉という形で表現されるが,これは明らかに論理的に不可能であり,端的に不合理を表現しているといえる。したがって,矛盾を生ずるとは,論理的にあってはならぬことであり,矛盾のおこりえぬこと,すなわち〈pかつpでないということはない〉を無矛盾律または矛盾律law of contradictionと呼び,論理的原理の一つとみなされている。話を論理的に展開するとき,矛盾をきたさないようにすることは基本的な条件なのである。…
…人間の思考が従うべきもっとも一般的かつ基本的な法則,というのが論理法則の伝統的な理解である。そして論理法則を代表する論理学の根本原理として,同一律,矛盾律,排中律の三原則が挙げられるのが通例であった。同一律は〈AはAである〉と,矛盾律は〈Aかつ非Aでない〉と,排中律は〈Aまたは非A〉と表現される法則である。…
※「矛盾律」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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