山川 世界史小辞典 改訂新版 「原子力管理問題」の解説
原子力管理問題(げんしりょくかんりもんだい)
原子力の管理,特に軍事転用を防止する問題。1946年,国際連合は原子力管理のための原子力委員会を設置し,アメリカはここで原子力国際管理案を提案したが実らず,委員会も52年に解散した。53年にアメリカのアイゼンハワー大統領が提唱し,57年に国際原子力機関(IAEA)が発足した。さらに西ヨーロッパでは,58年に原子力の共同開発,平和利用をめざすヨーロッパ原子力共同体が設立された。70年に発効した核拡散防止条約(NPT)は,IAEAと連携して,非核保有国の核開発に歯止めをかける役割を果たしている。また米英ソは,核兵器保有国をふやさないため部分的核実験禁止条約(PTBT)を提唱し,これは63年に発効した。しかし,これを強化する包括的核実験禁止条約(CTBT,96年採択)は発効に至っていない。95年には北朝鮮の核開発を防ぐためKEDO(ケドー)が設立された。一方,地域主導で核兵器を排除する動きは進み,非核地帯条約が,中南米(68年),南太平洋(86年),東南アジア(97年)で発効した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報