参候・進候(読み)まいらせそろ

精選版 日本国語大辞典 「参候・進候」の意味・読み・例文・類語

まいらせ‐そろ まゐらせ‥【参候・進候】

[1] 〘連語〙 (動詞「まいらす(参)」に補助動詞「そうろう(候)」の変化した「そろ」の付いたもの) 近世、主として女性の手紙文丁寧語の補助動詞として用いられた語。…しております。…します。…でございます。まいらせそうろう。草書でくずして「」などと書いた。〔ロドリゲス日本大文典(1604‐08)〕
浄瑠璃仮名手本忠臣蔵(1748)七「読(よむ)長文は御台より敵の様子こまごまと、女の文の跡やさき、で、はかどらず」
[2] 〘名〙
① ((一)が手紙専用の語であるところから) 手紙。特に、恋文
浮世草子・新色五巻書(1698)二「逢はぬ間のつらさを文に物いわせて、まいらせそろを楽しむ」
② (「まいらせそろ」の漢字を極端にくずしていいかげんに書いても読めるところから) いいかげんにしておくこと。その場のなりゆき次第にすること。そろべくそろ。「まいらせそろにする」
③ (「」の文字と形が似ているところから) 虚無僧(こむそう)
※雑俳・柳多留‐九五(1827)「父は子の為にで来る」

まいらせ‐そうろう まゐらせさうら・ふ【参候・進候】

〘連語〙
① (動詞「まいらす(参)」に補助動詞「そうろう(候)」の付いたもの) さし上げます。さし上げております。
平家(13C前)四「六波羅の煖廷(なんれう)こそとってまゐって候へ、まいらせ候はんとて、伊豆守にたてまつる」
② 「まいらす」を謙譲語の補助動詞として、他の動詞に付けて用いる場合。…してさし上げます。
根来要書‐保延六年(1140)二月五日・源為義書状案「すこしも心えぬ物に半、いかでかおもはれまいらせ候はん」
③ 「まいらす」に謙譲語の要素が失われ、「そうろう」と同様に、丁寧語の補助動詞として用いたもの。…しております。…します。…でございます。まいらせそろ。
御伽草子・鉢かづき(室町末)「御行水はわきまいらせ候、はやとり給へ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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