家庭医学館 「反復性肩関節脱臼」の解説
はんぷくせいかたかんせつだっきゅう【反復性肩関節脱臼 Recurrent Dislocation of the Glenohumeral Joint】
1回のけがで脱臼した後、急にいろいろな原因で脱臼をくり返すことを、反復性脱臼(はんぷくせいだっきゅう)といいます。
これが肩の関節におこった場合に、反復性肩関節脱臼と呼ばれます。
外傷がなくても脱臼をくり返すのは、習慣性脱臼(しゅうかんせいだっきゅう)といって、関節がゆるい人に多くみられ、区別されます。
20歳以下で、最初の脱臼を整復した後の固定が十分でなかった場合に、脱臼を反復するようになることが多いようです。
[症状]
日常生活では、あまり痛みはありません。しかし、ちょっと転んだり、あるいは朝起きようとして腕を動かしただけで、脱臼する場合もあります。
ボールを投げようとすると、脱臼しそうな不安感があり、スポーツ動作が思いきりできなくなります。
[治療]
まず、初回の脱臼を整復した後、最低3週間は固定をして、脱臼によって損傷した組織が完全に修復され、反復性脱臼をおこさないようにする必要があります。
反復性脱臼になる人は、1年以内に再脱臼をおこします。これを防止するためには、肩の周囲の筋力を鍛える必要があります。
それでも脱臼をくり返すようなら、手術が必要になります。手術は、その人の生活様式や、よく行なうスポーツの種類によって変わります。
手術には、関節鏡ではがれている軟骨を縫い縮めたり、肩関節の前面に骨を移植する、あるいは関節を包んでいる袋(関節包(かんせつほう))を縫い縮めたりする方法があります。