取らぬ狸の皮算用(読み)トラヌタヌキノカワザンヨウ

デジタル大辞泉 「取らぬ狸の皮算用」の意味・読み・例文・類語

らぬたぬき皮算用かわざんよう

まだ捕まえてもいない狸の皮を売ることを考えること。手に入るかどうかわからないものを当てにして計画を立てることのたとえ。
[類語]画餅に帰す絵に描いた餅

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ことわざを知る辞典 「取らぬ狸の皮算用」の解説

取らぬ狸の皮算用

狸を捕らえる前に、皮を売ればいくらもうかると計算し、その金をあてにする。不確かなもうけ話を自分につごうよく考え、あれこれ先走ることのたとえ。

[使用例] 東条首相は、石油は決して不足していない、心配するには及ばないと、しきりに弁明した。察するに彼の意図は、蘭領植民地を攻略して、その石油を用いるようなことであったろうが、これこそ取らぬ狸の皮算用で、もとより私の疑問を解くに足らない[若槻礼次郎*古風庵回顧録|1950]

[使用例] 暴落眼前に迫っていること、その予想がいかにたしかな筋から出ているかということ、どこの株をどれだけ売って置けば、いくらいくら儲かる、というような、「とらぬ狸の皮算用」やらで[里見弴*父親|1920]

[解説] 狸の皮は蹈鞴たたらふいごに、毛は筆などに使われ、かつては狸を捕るとかなりの金になったといいます。しかし、狸は一見のろまのようでいて、松葉でいぶしても抜け穴をつたって逃げる知恵があり、鉄砲の音を聞くと死んだふりをするなどして、なかなか簡単には捕まらなかったようです。
 いまもよく使われる表現ですが、幕末以前の用例が見出せないので、「穴のむじなを値段する」を西洋風に言い換えたものではないかとする説(新村出)もありました。しかし、明治前期のことわざ集「国民品位」に口語形の「取らん狸の皮算用」が収録されていたことから、幕末以前に西日本で口承されていたことがほぼ確実となっています。

英語〕Catch the bear before you sell its skin.(皮を売る前に熊を捕らえよ)/Don't count your chickens before they are hatched.(卵がかえる前にヒヨコを数えるな)

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