古大滝村(読み)ふるおおたきむら

日本歴史地名大系 「古大滝村」の解説

古大滝村
ふるおおたきむら

[現在地名]大滝村大滝

秩父郡の西端、信濃・甲斐の国境に位置し、高山に囲まれた山間地である。北・東は新大滝しんおおたき村で、同村とは耕地などが一部錯綜する。旧大滝村とも記した(三峰紀行草)。また「郡村誌」などでも「ふるおおたき」と訓じているが、地元では「こおおたき」ともよんでいる。荒川が東流し、同川沿いに秩父甲州往還が通る。同往還は白久しろく(現荒川村)猪鼻いのはなから当村に入り、荒川に沿って西進、雁坂かりさか峠を越え甲斐国に向かう。また同往還から地内栃本とちもとで分岐し中津川なかつがわ村へ向かう道は十文字じゆうもんじ峠越や三国みくに峠越で信濃国に通じた。集落は秩父甲州往還の両側や山の中腹に散在し、西から栃本上中尾かみなかお下納さげなし大久保おおくぼ岡本おかもと大達原おおだはらの六組に分けられていた。古くは新大滝村一村で、大滝村と称していた。明治一九年(一八八六)の大滝村村誌下調(山口家文書)には「文禄二年大滝ノ荘ヲ分烈シ郷村トナス、復明暦元未年十月新古大滝ト称シ二村ニ別ル」とあり、新大滝村との分村を明暦元年(一六五五)のこととしているが、正保国絵図などにはすでに大滝村と新大滝村の二村が記されている。また明治元年に当村のうち三峰神社の神領分が三峰村として独立分村している。天文二年(一五三三)七月銘の三峰神社棟札(同神社蔵)に「秩父県大滝谷三峯宮」とある。天正七年(一五七九)二月八日の大達原妙見社の棟札(風土記稿)には「武州秩父郡大滝谷大輪村」などとみえる。天正一八年四月日の豊臣秀吉禁制(写、武州文書)は大滝に宛てて出されている。近世を通じて幕府領。田園簿では大滝村とみえ、高二〇一石余・此永四〇貫三三九文とある。なお各年の年貢割付状(山口家文書)によると寛文二年(一六六二)までの宛先は大滝村、あるいは大滝郷となっていたが、同四年以降は古大滝村と改められている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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