化学辞典 第2版 「合成アンモニア工業」の解説
合成アンモニア工業
ゴウセイアンモニアコウギョウ
synthetic ammonia industry
窒素と水素から高圧触媒反応によりアンモニアを直接合成する工業.ハーバー-ボッシュ法による年産9000 t のアンモニア合成工場の建設,創業の成功(1913年)が,アンモニア合成の工業化の最初である.その後,クロード法(仏1917年),カザレー法(伊1920年),ファウザー法(伊1921年)が現れた.わが国では,日本窒素肥料(株)がカザレー法を導入し,延岡で製造をはじめたのが最初(1923年)であった.その後,各社が上の諸法を導入し,生産をはじめた.旧臨時窒素研究所の研究にもとづく,純国産技術の東京工業試験所法は,1931年から昭和電工(株)で実施されている.技術導入と国産技術の成功で,1937年ころは世界の全生産量の12% 弱を占め,ドイツに次ぐ第二の生産国であった.第二次世界大戦後は各国で肥料と硝酸の需要が増し,大増産が行われた.アメリカの発展がめざましく,アメリカ6.70×106 t,西ドイツ2.00×106 t,日本1.55×106 t(1960~1961年)の順であった.近年は硫安,尿素をはじめ,アンモニア系化学肥料の原料工業のみでなく,水素ガス源の転換をはじめとする合理化と改良により,製鉄,石油,石炭,天然ガスなどの諸工業と密接なコンビナート的結合が行われ,広く化学工業原料を供給する総合化学工業の基幹として進展している.とくにカプロラクタム,アクリロニトリルなどの生産規模の拡大のため,1.0×103 t d 以上の大型アンモニア合成設備が建設されている.合成繊維,ソーダ工業品,窒素肥料工業などの基幹工業として多角化,総合化されている.[別用語参照]アンモニア合成
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報