合衆国銀行(読み)がっしゅうこくぎんこう(英語表記)Bank of the United States

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

合衆国銀行
がっしゅうこくぎんこう
Bank of the United States

連邦政府の特許状に基づいて設立されたアメリカ建国期の全国的銀行。第一合衆国銀行 (1791~1811) と第二合衆国銀行 (16~36) の2つがある。双方とも公債と統一通貨を発行し国内統一市場の形成に貢献した。その設立の主唱者は初代財務長官 A.ハミルトンで,独立戦争の負債償還問題解決のため 1791年連邦議会により金兌換紙幣の発行と政府債の発行,および商業銀行としての一般業務を行う合衆国銀行設立の特許が認められた。フィラデルフィアに本店をおき資本金 1000万ドル,そのうち 20%が政府により出資された。この設立をめぐり激しい憲法論争が展開され,連邦派と反連邦派との対立が強まり政党発生の一因となった。 1811年特許期限が切れたが,16年4月 10日第二合衆国銀行設立の特許状が承認され,3500万ドルの資本金をもって再発足した。 30年代 A.ジャクソン大統領のもとで東部特権階級のシンボルとして攻撃の的となった。より容易なクレジット供与と紙幣の供給増大を望む農民や新興企業家の声を代弁したジャクソンは,特許状の更新による第二合衆国銀行の継続を拒否権を行使して拒否し,33年には政府出資金を引揚げてこれを中小の「ペット・バンク」に配分し,36年特許状の期限切れとともにその解体に導いた。その結果 63年の全国銀行法の成立まで,アメリカには全国的な発券銀行は存在しなかった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

合衆国銀行
がっしゅうこくぎんこう
The Bank of the United States

アメリカ合衆国初代財務長官ハミルトンの建議によって1791年12月に資本金1000万ドル(政府出資200万ドル、民間出資800万ドル)で発足した銀行。本店はフィラデルフィア。同銀行設立のねらいは、独立戦争期のもろもろの公債を新たに発行する合衆国連邦公債で借り替え、その公債を合衆国銀行に出資させて公信用を確立することにあった。1811年その特許期限満了とともに廃止されたが、第二次アメリカ・イギリス戦争(一八一二年戦争)後、第二合衆国銀行として再建された。しかし南部奴隷主階級は1791年以来、同銀行反対勢力の支柱であった。株式会社特許制度に反対する1830年代北部における「反独占」運動もこれに加わった。1832年に同銀行特許期限延長法案が議会を通過したが、連邦政府権限の拡大に反対する南部の州権論者A・ジャクソン大統領の拒否権行使にあって、36年に廃止された。以後1914年の連邦準備制度設立まで、合衆国には中央銀行機能を果たす公的機関は存在しなくなった。[安武秀岳]

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