その市在住、またはゆかりの人で、さまざまの分野で功績や業績のあった人に贈られる称号。もとは欧米で始められた制度で、公共福祉、学術、技芸その他の文化、産業等に業績ある人に、賞賛と尊敬の念を示すものである。名誉市民を表す英語honorary citizenのhonoraryは、義務、特権、報酬を伴わないことをその重要な意味としている。日本では、1949年(昭和24)仙台市が志賀潔(きよし)、土井晩翠(つちいばんすい)、本多光太郎らに名誉市民の称号を贈ったのに始まり、今日では多くの市がこの制度を設けている。また、県、町、村などの自治体も、この制度に倣って、名誉県民、名誉町民、名誉村民などの称号を贈ることも多くなっている。贈られた人には、その自治体の公共施設の利用や生活の便宜などの、若干の特権が与えられることが多い。
[梶 龍雄]